先島諸島で進むPACー3の配備。これまでにも自衛隊は北朝鮮の事実上のミサイルに対応するため、先島諸島へのPACー3配備の一時展開を実施してきました。これまでをふりかえるとともに配備の課題を考えます。
北朝鮮の長距離弾道ミサイルの発射に備えるために沖縄に初めてPACー3部隊が配備されたのは2012年。沖縄本島と宮古島・石垣島に搬入されました。
JNNニュース速報「先ほど北朝鮮が人工衛星と称するミサイルを発射した模様です
」
その後、北朝鮮は2016年にも衛星と称した事実上の長距離弾道ミサイル1発を沖縄方面に発射。各地で防災無線「Jアラート」によって警戒が呼びかけられました。

記者「Jアラートが鳴りました。9時34分です。県庁の職員が情報収集に追われています。」
防災無線放送「人工衛星と称するミサイルが南方向に発射されました。」
当時、Jアラートを通じてミサイル発射の第一報が伝えられると、県内では騒然とする場面もありました。
市民は「無事に過ぎてもらえれば。飛ばさないでもらえるのが一番良いんですけど。」
一方、2012年、2016年ともに自衛隊は大規模な迎撃態勢をとっていますが、いずれも「破壊措置」は実施されていません。
そして今回、韓国の尹大統領が国賓としてアメリカを訪れている今週にもミサイル発射の可能性があるとして、政府は警戒感を強めています。
浜田防衛大臣(きのう)「現時点では自治体との調整が完了した与那国駐屯地と石垣駐屯地について所要のPACー3部隊を展開することとしている」
自衛隊は浜田防衛大臣の出した「破壊措置の準備命令」に基づきPACー3部隊を、常駐している恩納分屯基地・那覇基地・知念分屯基地に加え、石垣島・宮古島、そして今回初めて与那国島にも配備をすすめています。

PACー3の先島諸島への一時展開は、北朝鮮の過去の発射事例を踏まえ「万が一に備えて」のものです。
一方、繰り返される沖縄での大規模なミサイル迎撃部隊の展開について、専門家は議論の不足を指摘します。
前泊博盛・沖縄国際大学教授「ミサイルが撃たれた後、迎え撃つというのは非常に困難で垂直に飛んでくるものに対して迎撃は出来ないというのは軍事専門家の中でも常識。PACー3を配備したからといって、“何から何を守れるのか”という議論も必要」
前泊博盛・沖縄国際大学教授「そもそもこれまで必要なかった島(与那国島)にPACー3を置かないといけないような状況になったのは誰がなぜ作ったのか」「そうした問いかけに対しても政府に確認する必要がある」
先島に奥必要性について具体的な説明が乏しいまま進む配備。また、与那国島の民間の港でPACー3の陸揚げが、無許可で行われたことについてはー
前泊博盛・沖縄国際大学教授「港湾の使用もについても許可を得ずに役所と対応しないといけないこともスルーしている。法的なクリアしないといけない手続きすら飛び越えてPACー3、軍備配備をしてしまうというのは危険。平時においてこうした対応ができないというのは有事においてもさらに輪をかけてなし崩し的に事が進められかねない」
情報開示がほとんどないまま展開するPACー3部隊。なぜ、先島に配備するのか。政府には丁寧な説明が求められます。