先日、『写真の学校』と銘打ったワークショップが初めて開催されました。
若者たちに写真を学ぶ場を届けたいと始まったこの取り組み。発起人がイベントに込めた思いや参加者たちが得たものとは―

「めっちゃ良い!ここめっちゃ良い!はい、撮って!はい、どんどん撮って!」

今月、那覇市で開催された「NEW PHOTOGRAPHERS’s OKINAWA U-30」。
30歳以下の若者を対象とした写真家育成ワークショップです。

野村恵子さん「ここロケなんで周りをよく見るこの人のバックにどこまで入れたいかな、何を入れたいかなっていうので変わるから―」
沖縄を拠点に活動する写真家、野村恵子さん。ワークショップの発起人です。

野村恵子さん「本当に沖縄の写真部、上手ですし、活躍してます。あと写真家も上の世代もすごく多いです。特に若い人たちが世代を超えて写真に触れ合えるプラットフォームみたいな場が作れればなと思ったのがきっかけです」

講師陣も豪華です。“写真界の芥川賞”、木村伊兵衛賞を受賞し、宇多田ヒカルのアーティスト写真などを手掛けた県出身の石川竜一さんをはじめ、第一線で活躍する個性豊かなプロの写真家たち。

今回は、高校生から社会人まで18人が参加。そのなかには、ウエイトリフティング全国3位で写真との二足の草鞋を履く嘉手納高校写真同好会出身の岸良愛天音さんや、写真甲子園で去年全国準優勝に輝いた沖縄工業高校写真部の元主将・平良有理佳さんの姿も―

かつてのライバル同士が仲良く参加です。

この日は、これまで撮ってきた写真の講評を受ける「ポートフォリオレビュー」が行われました。

写真家・石川竜一さん「うまいね、やっぱね。どう?これをこっからどうしたいっていうのはある?」
平良有理佳さん「え、なんか…どうしたいっていうか…」
石川竜一さん「どういう場所でどういう人と、どういうモノと関係が持ちたいか」

講師たちは、撮影のテクニックだけでなく、テーマ設定のコツや作品としてどう残していくか、そして被写体との向き合い方まで多角的な視点で講評します。
参加者は、緊張した表情を見せながらも講師からの貴重なアドバイスに耳を傾けていました。

岸良愛天音さん「自分の写真の魅力というか、自分にしか撮れないものを教えてもらった知ったっていう部分で、もっと活かしきれるかなって今後期待大になりました」
平良有理佳さん「講師の方だけではなく参加者の作品を見ても、こういう写真も素敵だなとか、そういう発見が出来たのがとても良かったと思います。 やっぱり沖縄のここが素敵だなってシャッターを切れるように頑張って行きたいです」

発起人である野村さんは、この経験を糧にこれからも写真を続けて欲しいと期待を寄せています。

野村恵子さん「今を撮って、この先も撮って未来に残していく。写真ってどうしても記録性っていうものがあるんです。それを見た人たちはいろんなメッセージを受けると思うんですね。もしこの参加者が一時カメラを置くときがあったとしても、いつかはたと思い出して、またカメラを持って写真を撮ってほしいかなって思います」

シャッターを切る参加者とそれに寄り添う講師 新たに始動した写真家育成ワークショップ。これからもレンズ越しに沖縄を見つめる眼差しを育てていきます。

【記者MEMO】
今年度は、県文化振興会の補助事業として実施されていますが、野村さんは今後も非営利での継続的な運営を目指すとしています。
参加者のなかから2人程度に写真展を開催する権利も与えられるということで、沖縄から若手写真家が大きく羽ばたいていくきっかけになればと思います。