知床観光船「KAZU Ⅰ」沈没事故との違いは

遠山氏: 知床の場合は目撃者も生存者も誰もいなかったため、事実認定に相当な時間がかかりました。乗船者のスマートフォンに残ったGPS情報を元に航行経路を特定するほど、困難を極めたと聞いています。捜索から(事件)送致まで3年を要したのも、その困難さを物語っています。

今回の辺野古の事故については、目撃者が多数いて映像証拠もあります。船体も押収されており、事実認定は知床に比べると時間がかからないと考えられます。転覆のメカニズムについても、知床のように閉鎖された船室への浸水経路を特定する必要がなく、波が打ち込んで転覆したという形ですから、原因の特定は比較的容易かと思います。

責任体制の不透明さがハードルか

一方、組織としての責任を問う面では、知床の場合は海上運送法上の登録がされており、運航管理規定の中に陸上の安全責任者が明記されていました。運航管理者かつ統括安全管理者はいずれも社長でしたから、組織内の責任者の特定には苦労が不要でした。その上で、社長がその責任を果たしたかどうかの立証に注力できたわけです。

今回の辺野古の事故では、海上運送法上の登録がされていないため、陸上における安全管理・運航管理の責任体制がまったくない状態です。まず「陸上で誰がその責任を持つべきであったのか」という特定から始めなければならず、知床に比べて1段階ハードルが高い状況です。