カラフルでポップ。それでいてどこか繊細さを思わせる数々の絵画たち。作者は、北谷町出身の町田隼人さんです。

これまでに、スポーツブランド「アディダス」のイベントTシャツなどのデザインを手掛けてきたほか、アパレル企業「ユニクロ」が全国で展開するサービス「UTme!」へデザインを提供するなど、今、最も注目を集める画家の一人です。

Q:オファーが来たときは驚いていたんじゃないですか?」
町田隼人さん「びっくりしました。うれしい気持ちとほんとかなっていう驚きがずっとありました」
Q:何が評価されていたと思いますか?」
町田さん「何が評価されていたのかな…うーん色合いとかなのかな。そうですねそこ自分でもまだちょっとわかってないんで、聞いてみたいなって思います」

現在27歳の町田さん。画家歴は5年、まだまだ若手です。本格的に制作に取り組み始めたのは、大学3年生のころ。
将来への不安から専門的な絵画の勉強を一度はあきらめましたが、やはり芸術の道に進みたいと1年間休学。現代アートの本場NYへ留学し、独学で絵画を学ぶことを決意しました。

町田隼人さん「留学行く前はやっぱり好きだから、描くっていうのが最初の原動力だったんですけど、なぜその作品を描くのかとか、自分自身のアイデンティティとか、自分って何なんだろうというのをより考えるようになってから、そういうのを作品に起こしたものがまた美術館に収蔵されてる、展示されてるんだっていうのを知った」

町田さんは、企業コラボのデザインを手掛ける傍ら、昨年末からある作品を制作しています。

Q:何を描いているんですか?
町田隼人さん「この絵自体は基地の中。小さいころに行って多分カーニバルとかフェスティバルとか基地のなかである祭りみたいなのがあったのを覚えてて。飛行機とかかっこいいとかってそういう。大人になるとやっぱりかっこいいだけじゃなくて恐怖、怖いもの、っていうものがそういう楽しいところに置かれているっていうことに対して、変な気持ちになった」

本土復帰から50年を迎えた去年、町田さんは改めて沖縄の歴史を学んだといいます。沖縄の歴史の光と影の側面。町田さんは、自分の作品のテーマに通ずるものがあると考えます。

町田隼人さん「『両価的感情』っていうのをテーマにしているんですけど、両価的感情とは一つの物事に関しての相反する感情、なんか好きだけど嫌いとか。両面性があるからこそ自分の中で意味を持つ」

町田さんの両価的感情という考え方が生まれた背景には、地元、北谷町の風景がありました。海岸沿いには多国籍な飲食店が並び、空にはいくつものアメリカ軍機が飛び交っています。
町田隼人さん「いい面も悪い面も一つの場面っていうか自分の見ている景色の中には両立してるっていう風に思うので、『なんでそう感じるのか』って疑問を考えてしまうそれで考えることをしっかり自分もそういう記録として残しておきたいので作品として描く」

その繊細な感情の動きが投影された作品は、多くの人を魅了しています。

展示会に訪れた人は―
「好きでよく見に来ています。なんか身近?何だろう身近に感じる」
「いつも明るい雰囲気とかカラフルなものが多いんですけど、その中に隠されてる思いとか、実際目で見るのとは違う」

町田さんの作品は、こんな人にも影響を与えています。

HYリーダー 新里英之さん
「町田君の展示会見た瞬間に、もうね、花畑。そこは。でまた、HYもツアー前でHANAEMITOURっていうのを掲げてて、ステージの中でパフォーマンスでなんかこう花に関するアイディアはないかなっていうのをずっと探してたんですよね」

HYの全国ツアーのグッズに町田さんのデザインが起用されています。また、ライブステージにも大きく町田さんの作品があしらわれています。

HYリーダー 新里英之さん
「すごく自由さがいいんですよ。自由を本気でそしてまた本気で表現できるっていうのはすごいそこには根っこの勇気が必要だと思うんですよ。僕も音楽作ってるからもっともっと自由にいろいろ表現していきたいって気持ちになります。町田君の絵を見ると」

27歳の青年が描くカラフルな世界。極彩色の渦の中で自分自身と向き合い続けます。

Q:町田さんの命題は考え続けること?
町田隼人さん「そうかもしれない。考え続けること、答えが出ないことに対して向き合い続け方が多分絵を描くことだと思うので、まあ楽しみながらできたらいいなっていう風に思っています」