こうしたなか、今年7月から、沖縄刑務所と沖縄大学の学生がコラボ商品の開発に取り組んでいます。沖縄刑務所が外部の機関と共同でモノづくりを行うのは、今回が初めてです。

▼刑務官(紅型担当)
「今、このバッグが出来るようになって、技術は大分良くなっています」
▼沖縄大学・富山侑美准教授
「技術が上がった」

刑法が専門の、沖縄大学の富山侑美准教授。拘禁刑の導入をきっかけに学生たちと沖縄刑務所を見学した時に、刑務所から、ある提案がありました。

▼富山准教授
「刑務所の方も作業の内容を変えていきたいということだったので、学生の意見を取り入れてみたいという提案があったんですよね。それがきっかけでこのコラボが始まりました」

デザインや機能性など学生の意見を刑務所の職員を通して受刑者に伝え、試作を重ねてきました。

▼刑務官(陶芸担当)
「(シーサーの)口を閉じてあげて。色を細かく塗ることができました」
▼女子学生
「すごい、ありがとうございます」「かわいい」

▼男子学生
「自分たちの提案より完成度が高くて。実際、自分でも使いたいなという商品です」

▼刑務官(紅型担当)
「(受刑者)自分たちが一から新製品を作るとなると、自分たちで考えてアイデアを出して。(学生とのコラボで)作業に向けるまなざしとか、向き合い方が違うなと思って」

手先の器用さが求められるシーサーの絵柄も受刑者がデザインしたもの。

▼受刑者(50代)
「みんなと作業してみて、コミュニケーションは必要だと思うし、支え合って助け合いながら協力して作業を進めていくのは大事だと思いました」

共同製作の経験が社会復帰の意欲にもつながっています。

▼紅型バッグを製作する受刑者(30代)
「(紅型を)日々集中して作業することを意識して励んでいますので。これは出所してからの就職に関しても、どんな分野で勤めるにしても、そういうところを大切にしていきたいと思っています」

▼受刑者(50代)
「最後に、このコラボの企画を持ってきてくれた沖縄大学の学生に、作業に携わった受刑者みんなから心からの感謝。こういう社会とのつながりをいろいろ感じさせてもらったので、それをとても感謝していますと伝えてください」

新たな刑務作業のかたちに、沖縄刑務所は。

沖縄刑務所・川原正道 主任矯正処遇官
「相手を尊重しながら自己表現を行うといったコミュニケーションの基本的な能力、作業工程や製品の改善を進めて課題を解決していくだとか、基本的な能力の向上を図っているところです」「新たな取り組みが、受刑者の出所後の就労、あるいは就労後の職場定着につながって、再犯防止を推進していければと期待しています」

受刑者が再び罪を犯さぬよう、社会とのつながりを重視した取り組みは始まったばかりです。

【記者MEMO】拘禁刑は高齢の受刑者のリハビリ、薬物依存者などの回復に重きを置いた対応を行うなど、24種類のプログラムを用意して再発防止を目指しています。

沖縄大学とのコラボ商品は今週13日と14日に宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれる「九州矯正展」で販売されます。沖縄での開催は初めてで当日は学生も販売に参加する予定です。