今年2月までの約18年間に宮古島市で捕獲されたインドクジャクの数は6896羽。野生化し固有種の捕食など生態系に影響を及ぼしている外来種のクジャク。そんな招かれざる鳥と闘う島のハンターを取材しました。
林の中を歩くスナイパー。鋭い視線の先にいるのは…。
▼農家「あかちゃんが泣いているみたいな、猫が鳴いているみたいな声」
緊急対策外来種インドクジャク。

▼県猟友会宮古支部 西原武さん「ずっと繁殖すると農業が大変なことになる。固有種の保全もありますしここにいるべきものではないので」
島の暮らしと生態系を守ろうと闘うハンターに密着しました。
透き通る青い海が魅力の宮古島市。島にある森に目を向けてみると、ミヤコニイニイやミヤコカナヘビなど固有種が生息しています。
しかし、その森にはある招かれざる鳥が。緊急対策外来種のインドクジャクです。
30年以上前、観賞用として持ち込まれたクジャクですが、台風などで壊れた畜舎から逃げ出し野生化。繁殖力が強く、島に天敵がいないクジャクは瞬く間に大繁殖し、畑に現れては農作物を食い荒らす厄介者です。

▼農家「おととしくらいに野菜いっぱいやられた。そりゃ悔しいさ。あんなにいっぱいやられて」
羽を広げた優美な姿とは裏腹になんでも食べる大食漢。固有種の捕食も確認され、市は18年前から地元の猟友会と協力し本格的な捕獲に乗り出しました。
▼県猟友会宮古支部 西原武さん「少し警戒していますね」
西原武さん44歳。3年目の若手ハンターです。
▼県猟友会宮古支部 西原武さん「始めたころには、この辺は朝来るとクジャクがいて最近は自分が捕獲したというのもあるかもしれないけど、あまり見られなくなった。出勤前に用事はないけどクジャクいないかなって感じで車で回って、クジャクの被害、野菜がやられたと聞くと自分が少しでも役に立てればという思いがあって」

猟友会の活動により捕獲数は年々増加し、2023年度には過去最多となる1110羽が捕獲されました。一方で、これまでクジャクが生息していなっかた池間島でも去年1羽が捕獲されるなど、生態系への影響が懸念されています。
▼県猟友会宮古支部 守武大 事務局長「2019年から毎年500羽以上の捕獲を続けていて、捕獲のノウハウが蓄積してきたのと猟友会員も増えて若い方が育ってきたのが大きい」
外来生物の対策をする南西環境研究所と今年から合同調査を始め、夜間にドローンを使ったねぐらの調査などを実施。根絶に向けた動きが加速しています。
▼南西環境研究所 竹場蓮さん「猟友会の方と今回初めて一緒に同行したり捕獲したりできるようになったので、もっと密になって排除を目指していきたい」

午前6時過ぎ。西原さんは猟銃を抱えて、森の中へと静かに入っていきます。
クジャクを見つけ、発砲しますが…。
▼県猟友会宮古支部 西原武さん「はぁ…、相手も賢いですから。難しいです。
アプローチミスです。意外と近くにいたので」
2箇所目のポイント。つるが生い茂る森に入ると。
▼県猟友会宮古支部 西原武さん「藪の中で3メートル先にクジャクがいて、つる草にクジャクが絡まっていて、向こうも身動き取れないんですけど、自分も同じようにつる草に絡まって、狙おうにも近すぎて狙えないし、いつの間にかつるがほどけて逃げられた」
クジャクの鳴き声をたどり森を歩いていくと…。
▼県猟友会宮古支部 西原武さん「あそこに4羽いる」
西原さんが撃った弾は、木の上のクジャクに命中しました。
▼県猟友会宮古支部 西原武さん「メスですね。首が地味な緑色ですね」
――撃つ瞬間は何か考える?
▼県猟友会宮古支部 西原武さん「何も考えないようにしています。考えると撃てなくなるので」
今回の取材ではオス2羽メス4羽の合計6羽を捕獲。
▼県猟友会宮古支部 西原武さん「達成感はありますね。申し訳ないとは思うけどここにいるべきものではないので。農家も死活問題ですし固有種の保全もありますし。人間の都合で持ち込まれて人間の都合で駆除されてかわいそうです」

人のエゴで持ち込まれ奪われる命。島の暮らしと自然もまたハンターたちの手で守られています。