「今年度よりも200億円減額され…」


ことし行われたの沖縄県知事選挙で自民・公明が推薦する候補者が演説を行う最中、突然投げられた複数の空包。この空包を投げたのはチョウ類研究家の女性、宮城秋乃さんです。この行為により先月、公職選挙法違反の疑いで書類送検されています。

宮城さんはこれまで、世界自然遺産に認定されたアメリカ軍北部訓練場跡地から大量の廃棄物を見つける度に回収し、アメリカ軍や防衛省に抗議してきました。
しかしこの県知事選挙での一件で、支持者の多くが離れ、地元メディアも厳しく批判しました。

こうした中で、”批判すべき行為”の背景にある”宮城さんが行為に至った経緯(いきさつ)”を記した本を出版した女性がいます。

宮城さんの本を出版した 中村之菊さん
「宮城秋乃さんが報告書として出しているものがあるんですよ。(そこに)盛り込むということではなく、事実を私が付け足す。苦労、そこ(廃棄物のある場所)まで行くにはどれくらいの汗の量を流すとか」

千葉在住の木工大工・中村之菊さんです。中村さんが宮城さんと出会ったのは、6年前、2016年にさかのぼります。


中村之菊さん(2019年:米軍北部訓練場の入口前での抗議)
「私はヤマトンチュですけども、基地を押し付けた側がいうのも恐縮ですが、今後、子供にもこの施設は必要なんだと主張をするのであれば、私は”それは違うよ”と(主張する)」

中村さんは当時、右翼団体を設立し、沖縄に過重な基地負担が強いられている現状に異を唱える街宣を行っていました。

そうした中で、偶然知り合ったのが宮城さん。中村さんが宮城さんに案内されたのが、やんばるのアメリカ軍北部訓練場跡地でした。2016年に日本へと変換された北部訓練場。防衛省は1年後に”支障除去”は終えたとして、返還地を地権者へと引き渡しました。

宮城秋野さん
「中に防水塗料の赤い色が見えるので、未使用の銃弾空包です」

しかし中村さんが目にしたのは、防衛省発表とは”乖離した光景”と、険しい山道を何時間もかけて歩き、ひとりで廃棄物を回収する宮城さんの姿。そして宮城さんがあげる抗議の声が黙殺されてきた現状でした。

中村さんの著書『抵抗』によると、2016年より数年前から、宮城さんは銃弾を見つける度に警察に回収させています。しかし2019年10月半ばから警察は回収を止めます。


警察がなぜ銃弾の回収を止めたのか?なぜ以前は回収していたのか?中村さんは開示請求していますが、警察の回答はいずれも『不開示』。ことし2月に行った再審査請求にも、未だ回答はありません。

現状と異なる公表をする防衛省にも頼れず、おととし10月から、宮城さんが始めたのが、アメリカ軍に直で廃棄物を渡す『返却行動』でした。現在まで20回程行われてきましたが、ほとんど知られることはありませんでした。

宮城さんの本を出版した 中村之菊さん
「宮城さん本当に悩んでましたよ。どうしたら、いろんな人に気づいてもらえるかなということを。一生懸命講演会をやったり、動画を作って、本を出したり。すごい努力していたと思います」

宮城さんが何度も上げた声は黙殺され、やんばるの森は世界自然遺産に登録されます。