盛吉さんが、作品作りにおいて最もこだわったのが、廃ビンを原料とした、再生ガラスの活用です。

廃ビンから作る琉球ガラスは、不純物を100%取り除くことができず、作品には、うしても気泡が混ざってしまいますが、その泡を「味」に昇華させたのが、盛吉さんでした。

▽稲嶺盛吉さん(当時64歳)
「自然そのものを表現してくれるし、ものすごく温かい味わいを出してくれるのが
再生ガラスの持ち味です」

元々は、米軍基地から出るコーラやビールの空き瓶を活用し工芸品として生まれ変わった琉球ガラス。しかし、現在では、原料ガラスを使用した制作が一般的になっています。

しかし工房「虹」では今も、原料にはすべて廃ビンを活用し、盛吉さんが大事にしてきた「ぬくもりある作品作り」を受け継いでいます。

▽職人 稲嶺盛一郎さん
「1本1本時間をかけて、ガラスを作るまでに時間がかかるじゃないですか。そしたらガラス作るときにもまた喜びが倍以上楽しめると思って。だから絶対これは続けていきたい」

捨てられた廃ビンをアップサイクルし、琉球ガラスとして生まれ変わらせる工程は、つくる責任、使う責任、というSDGsの目標にもつながっています。

「廃ビンはやっぱり、原点。自分自身は廃ビンを使ったものが本物の琉球ガラスだと思っているんですよ」
「だからこれをさらに守りながら、どこの真似もしないで、もっともっと広めていきたいなとは思っています」

時代を超えて愛される琉球ガラスには廃ビンだからこそ生まれる温もりと、伝統を守り続ける職人の思いが込められています。
(RBC NEWS Link 「つなごう沖縄」2024年10月10日放送回)