8月。糸満市のサバニ広場に、漁師とその妻の日常を詠んだ短歌の歌碑が建てられました。歌を書いたのは85歳の歌人、喜納勝代さん。琉歌ではなく、短歌でつづられたその歌には、ある思いが込められていました。

「海を恋ふ 無口な男迎へむと 素足でかける 浜の妊婦は」

先月、糸満市のサバニ広場に建てられた歌碑。漁に出た夫を迎える妻の情景が目に浮かびます。歌を詠んだのは、糸満の歌人、喜納勝代さんです。

2024年8月に建てられた歌碑

▽歌人・喜納勝代さん(85)
「糸満の漁師はいつも腕組みして毛布着を着て海を見ているわけ。無口な、あまりしゃべらないご主人を慕う糸満の女性を、感心して見ていた」

喜納さんがこの歌を詠んだのは高校生の時。

中学生の頃に短歌を書き始め、これまでに2冊の歌集を出版しました。喜納さんが琉歌ではなく、短歌を詠むのには理由があります。

▽歌人・喜納勝代さん(85)
「糸満の琉歌はあるけど、短歌で詠む人はいない。本土の人に琉歌で詠んでもなかなか通じない、短歌で伝えたい」

歌人・喜納勝代さん(85)

沖縄のことを、本土の人たちに伝えたい。喜納さんの歌には、そんな気持ちがあらわれています。