「いらっしゃいませ」
開店とともに早速お客さんが来店。
常連客
「今日は出勤前に直してもらおうと思って。やっぱりあれじゃないですか。お客さんが多いというのはそれなりにニーズに対応してくれるので。若くても年配でも。色んこと知ってるんですよ。ああするか、こうするかって(提案してくれて)」
長濵さんのぶれない熟練の技はもちろんですが、人生の大先輩としての信頼は絶大です。

長濵さん指名歴12年の客
「朝この時間に開いてる床屋ってないじゃないですか。それもありますし、私の目標にもなりますんで。私も還暦過ぎてますけど、しっかり頑張っていらっしゃるんで。もっと頑張ってもらってギネスを目指してもらって。私は応援しているので」
長濵さんの早朝営業は、評判が評判を呼び、今では出勤前のサラリーマンや、夜勤明けの人、さらには噂を聞き付けた観光客までも来るようになったといいます。
長濱さんが理容師の道に進んだのは60年前。地元の与那国で中学卒業を機にこの世界に飛び込みました。
長濵正明さん(82)
「手に仕事覚えたほうがいいということで、理容の道に歩ませてもらったんですね。それはもう今でも感謝の気持ちで。お父さんに大感謝ですね!」

本島での下積み時代には、米軍の身体検査日のカットを担当。
長濵正明さん(82)
「(毎月)1日、15日が当時検査日だったのね。若い兵隊さんがずらっと並んで、短いバリカンで上にかけて短く。それがGIカットで。そこで特訓させられたというかな、そこでいい勉強になりましたね」
妹や弟とともに理容室をオープン。その後さらに腕に磨きをかけるため、53歳で単身上京。なんと正月以外は休みなく、こまめにノートに記録しながら毎日働きました。
長濵さん
「(1日にカットしたお客さんの数が)37名、36名。40名切ったら分かりやすくてね。で、(この日は)42名。そういう風に毎日この数字とにらめっこしながら。これが私の励み」