「沖縄の方々の思いをいかに形に出来るか」彫刻師の復元への思い
下絵作業から4か月。次の作業は、ところ変わって富山県南砺市。砂田さんの自宅へと場所を移していました。

普段、砂田さんが手掛けるのは仏像彫刻など。250本のノミを駆使して弟子と作るのは、特注の欄間彫刻。
砂田さんの弟子 野原陽万里さん
「先生が粗彫りされたのを、仕上げる工程をさせて頂いています。全部俺が直せる実力があるから、失敗しても全然いいよと。私もプレッシャーを全然感じず、やっています」
砂田清定さん
「お客さんの思い以上のものをつくりたいというのが自分の考え。注文者のお父さんが寅年だから、親虎が子虎を見守る子供の虎をつけた。自分で」
どんな物語を描くか。技術のほかに、想像力が求められます。

並行して進めるのが唐破風妻飾り。取り掛かるのは”下絵”をもとに粘土を使って作る、忠実なサンプル=粘土原型です。
砂田清定さん
「木彫の途中で迷ってしまうと駄目ね。そのためにも粘土でトレーニングしている」
こちら平成の復元時にはない、砂田さん発案の工程ですが、このひと手間が彫り手のイメージを固め、かつ専門家とも意見のすり合わせがしやすくなるといいます。
砂田清定さん
「復元という仕事はどちらかというと自分の考えじゃない。タイムスリップする様に、沖縄の方々の思いをいかに形に出来るか」
その工程に視線を送るのは、あの日一緒に下絵を描いていた後藤さん。実は10日ほど短期ホームステイで受け入れてもらっていました。
最年少宮大工 後藤亜和さん
「砂田さんの直感でやっているので盗むしかない。『教えるって言ってもなぁ』という感じだったので」
気づいたことは全てメモしています。