「声を出すことは自分を解放すること…」

車谷さんに声楽の指導をする教授は、彼女の存在が多様性を尊重する社会の実現に向けて、まわりの学生に良い影響を与えているといいます。

行天正恭教授:
「声楽は体が楽器と言われ、声質も人それぞれ。彼女は生まれつき良い声質を持っている。レッスンでは『アレ』『ソレ』とか言わず、きちんと言葉で指導するよう気をつけています」

「周囲の学生もはじめはぎこちない感じでしたが、だんだん慣れてきている。人を助けることによって、自分に何ができるのかを実感し、それが自信にもつながっているようです」

車谷さんは健常者と共に過ごすことで差別や偏見を感じることはありますが、自身を支えてくれる人を増やし、卒業後は障害者支援に貢献したいと考えています。

車谷萌花さん:
「声を出すことは自分を解放することなんです。今後は視覚障害者の支援に携わりたいと思うし、孤独な人を減らせたらいいなと思う。生まれつき目が見えない人だって、同じ境遇の人を探したいときはあるんだよと私は思っていて、そういう人とつながって何か楽しいことができないかなみたいなのはありますね」