2016年に大分県の支援学校で、重度の知的障害があった生徒が給食中にのどを詰まらせて死亡しました。なぜ学校で娘を失わなければならないのか…。学校側の対応に苦しんできた生徒の母が、悲痛な胸の内を明かしました。

この事故は2016年9月、別府市の南石垣支援学校高等部3年の林郁香さん(当時17歳)が給食中にのどを詰まらせて、その後死亡したものです。両親らは郁香さんに重度の知的障害があったにもかかわらず、食事の見守りを怠ったことや、その後の学校側の不適切な対応には重大な過失があるとして、県や当時の教職員に損害賠償を求める裁判を起こしました。

事故から7年を迎えるのを前に、8日は有志が大分市内で集会を開きました。

(郁香さんの母・林香織さん)「郁香が『ママ』と呼んだあと私が『用事はなあに?』と聞くと必ず『好き好き』と答えてくれました。気持ちというものを伝えることは難しかったので、その言葉も会話支援アプリに録音している言葉ですが、それが郁香が唯一言葉で伝えてくれた郁香の気持ちでした。もう一度聞きたいと何度も思いました」

集まった支援者ら40人の前で母親の香織さんが郁香さんの障害や事故当時の状況、その後の学校や県の対応について語りました。特に教職員の応急措置が不適切だったことや、県教委が事故当時の対応、郁香さんの障害への認識を嘘をついて説明されたことに憤りを感じています。

(郁香さんの母・林香織さん)「大分県の事故後の対応、訴訟対応は非常に悪く、もう信じることも許すこともできないというのが私たちの気持ちです。元気に学校に送り出したわが子が亡くなって帰ってくる、こんな悲しい事故が二度と起こらないことを心から願っています」

当時の教職員4人は事故当時の過失を認め、先日両親らと和解しました。県も裁判所の和解勧告に応じる姿勢を見せていますが、不信感を拭えない両親らは「決して応じない」として、判決を求めて闘い続けることを選択しました。