気象・海洋気象研究者の矜持──海、空、自然に向き合い翻訳する
富山 吉祐さん
「 “歴史に香う長崎の誇りも高き気象台” この辺がいかにもみんなの心意気を表しているんじゃないかなと思うんですよね。
この当時は、まだ海というのは──調査というのは “探検時代”みたいなものですから、あんまり経験がなかったので、みんな張り切ってやっていましたね。」

歌を作曲した当時、石黒さんが寄稿した冊子が、長崎地方気象台に残されていました。ここには『海と空、自然と向き合う科学者の理想』が綴られていました。

石黒 鎮雄さんの文書より
「気象や海洋の現象をとらえ、これから得られる知識を、利用者に必要な知識に翻訳して提供すること。
そうして、国民(人類と言いたい)の福祉に役立つこと──これが気象台の任務と最終の目標だと思う」

気象台職員・田代 知二さん
「私が思うにこの歌の本質はここだと思いますね。
気象への思いとか、研究者としての思いと、気象庁として何をすべきかということを葛藤しながらやられていたんじゃないかなと思いますね」

長崎海洋気象台の歌(4番)
作詞:尾崎 康一
作曲:石黒 鎮雄
ああ文化の揺らんの 聖地に残る先輩の
気象の歴史ひもときて 清き流れをくみとらば
清新のきもさわやかに 世界に智恵を捧げむと
望みに胸も高鳴りて いまこそ起ちぬ気象台
この記事は2019年4月に放送した内容を再構成しました。