ボール支配率が高くても勝てない…苦悩

春先の長崎は、苦しんでいた。データを見れば、シュート数やボール支配率、パス数はリーグ上位。しかし、現実は残酷だった。リーグで下位だった「失点癖」はなかなか治らず、8節の今治戦と11節のいわき戦では今季ワーストの4失点を喫した。4月には5試合で「一度も勝てない」泥沼を経験。

ぶっつけ本番の「3バックシステム」導入が功を奏し、一度は持ち直した5月も、18節の水戸戦で0-3で完敗。立ち上がりにあれよあれよと3失点を喫すると、強風の影響もありロングフィードは機能せず。ボールを持っても頼みのマテウスがすぐに相手に囲まれ、打開策を見出せずに封じ込まれた。

当時、スタンドやSNSではこんな声が漏れていた。…「後ろでパスを回しているだけじゃないか」…ディフェンスラインで時間をかけてパスを回し、最後はミスで失う。攻撃開始の位置が低く、怖さがなかった。

6月上旬、シーズンの半分が終わってチームは8位。首位との勝ち点差は「10ポイント」と絶望的にも見えた。