殺されたかったことを知らない妻、そして見つかったメモ

男は現在は保釈され、長女や妹のサポートのもとで生活を立て直している。入院中の妻の居場所は知らされていない。

妻は自分の身にあったことを全く分かっていないという。
入院している病院で「お父さん会わないね」―そう言いながら、次第に家族の名前も忘れていっているという。

長女:
「事件後、母のメモが見つかったんです。それを見ると3年くらい前からメモを取り始めていた。その頃から認知が始まっていたんだと思います。母はそのことを言えずに苦しんでいたんだと思う」

明快にこたえていた長女は母親のことを語る時、声を詰まらせた。裁判員も目頭を押さえた。

長女:
「父は母のことを思っていた。母も、今は波があって分からなくなることもあるけど、頭の片隅には父のことが残っている。一緒に過ごすことはできないけど、テレビ電話などから始めて、いつかは2人を会わせてあげたい」

家族を思い、邁進していた介護。
その真面目さゆえに抱え込み、はじけてしまった心。

老々介護のW介護、超高齢社会のひずみが事件として浮き上がった今回の犯行にどんな判断が下されるのか?判決は11月17日に言い渡される。