年間18万本ものスラックスを生産している縫製工場から出る“端切れ”を利用して、新たな商品開発ができないか。
“起業を目指す学生” と “国内シェア日本一”の長崎県松浦市の縫製工場の取り組みを取材しました。
■ 品質抜群の“端切れ”を使った 世界に一つだけの商品

製品を作ったあとに出る“端切れ” ──


普段は切り刻まれ、捨てられていますが…これが、キャンプなどで使う『折りたたみ椅子』や『タブレット端末の布ケース』に生まれ変わりました。

仕掛けたのは経済学や経営学などを学ぶ現役の大学生です。

長崎県立大学 起業サークル『FIRPEN(ファーペン)』
古川 友稀 総代表(20):
「“世界にたった1つのもの”というのが、切れ端からできる“売り”でもあるなと考えています」

エミネントスラックス 前田 周二 社長:
「私共の“端切れ”を使って商品化になるということは、ニーズにもマッチしてますので、非常にいいアイデアだったと思いますね」


松浦市に縫製工場を構えるエミネントスラックス。
年間18万本のスラックスを生産し『国内シェア日本一』を誇ります。
工場では自動裁断機をつかって生地から型紙通りにパーツを切りだしていきますが、効率的に生産しても15%ほどが端切れとなり、年間およそ2トンが廃棄されています。


エミネントスラックス 渉外広報部 鴨川 秀人 部長:
「これが“切れ端”です。これを今までは産業廃棄物として捨てておりましたが、何とかSDGsの観点で活用できないかということを考えています」
■ 最初に海に飛び込むペンギンは “勇敢なベンチャー”

活用のアイデアを依頼されたのが長崎県立大学の起業サークル FIRPEN(ファーペン)です。

代表の古川 友稀さんは小さな端切れでも『パッチワークのように組み合わせることで商品化できる』と確信しました。

ファーペン 古川 友稀 代表:
「切れ端でも“既製品として使われているデザイン”と同じなので、これらの(高い)デザイン性を強みに商品を作っていきたい」

このサークルには“学生のうちに会社を起こしたい”というメンバーが集まっています。
サークル名 FIRPEN(ファーペン)は『ファーストペンギン』の略で、“起業への思い”が込められています。

古川さん:
「ペンギンはそもそも群れで行動する生き物なんですけど、エサを獲るためには1羽の勇敢なペンギンが飛び込まないといけない。それを私たちは“ベンチャー精神”として称え、“ファーストペンギン”と呼んでいます」

メンバーは1年生から大学院生まで22人。授業やアルバイトの合間を縫ってリモート会議などで情報共有しています。
■ 高校生・大学生にもアイデアを募集

去年7月、エミネントスラックスの依頼を受け、高校生・大学生を対象に『KIREHASHI(キレハシ)ビジネスプラン コンテスト』を開き、アイデアを募集。
地元の松浦高校などから60件の案が寄せられました。