だしを取ったあとに捨てられてしまう、鰹節などの「だしがら」でできた「おかか」。石川県野々市の弁当店で提供されるこのおかかには、店を始めるきっかけにもなった店主のある思いが込められています。
野々市市本町の住宅街。わずか6畳半の小さなプレハブ小屋のスペースで1人で、店を切り盛りしているのは店主の森義治さん。

日替わり弁当にサンドイッチ、カツ丼など、ほとんどの弁当に使われているのはこだわりのだし。カツオやサバ、イワシ、昆布などを使った関西風のだしで、和洋問わず、様々なおかずに合うように味付けされています。

森義治店主
「魚の種類があったほうが味が複雑化するというか、奥行きが出るというか。単調な味にならない」
このだしをとった後に出る「だしがら」
店では細かく砕いて味付けしたものを、オリジナルのおかか「かつぶ」として弁当の上にのせています。

15年ほど前まで金沢市のうどん店で店長をしていたという森さん、ただ、しばらくは料理の世界から遠ざかっていました。
森さん
「子どもらのママとお別れして、なかなか飲食の仕事だけでは厳しかったので、生活するために現場に出る仕事行ったりした」
森さんが、再び一念発起するきっかけになったのがこの「かつぶ」でした。
森さん
「年齢的にも自分で何かするってなったらこれが最後かなって。うちのおかんが考えた伝説のおかかがあるので、それをみなさんに知っていただきたかったのもあるし…」