国が生活保護の基準額を引き下げたのは、生活保護法に違反するとして、金沢市の受給者らが処分の取り消しを求めた裁判の控訴審で、名古屋高裁金沢支部は17日、引き下げを取り消す判決を言い渡しました。
生活保護をめぐっては、世界的に経済が混乱したリーマンショックなどの影響で、厚生労働省が2013年から3年間、生活保護の基準額を平均で6.5パーセント引き下げました。

これに対し引き下げは「健康で文化的な生活」を保障する生活保護法に違反するとして、全国で訴訟が起きていて、金沢市でも4人の受給者が処分の取り消しと国家賠償を求めました。
1審の金沢地裁は引き下げに違法性はないとして、原告の訴えをいずれも棄却しましたが、2025年6月に最高裁は「支給額の引き下げは違法」とする統一判断を示しました。

これを受け全国で初となった17日の判決の言い渡しで、名古屋高裁金沢支部の大野和明裁判長は、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱や濫用があったとして、受給者らが主張する引き下げ処分の取り消しを認めました。一方で、国家賠償請求は退けました。