珠洲焼を並べた理由…祖父の思いを受け継ぐ

てんだ商店・田中宏明さん「このオレンジ色のテントを売っていたのも自分らなので。ウチが朝市のおばちゃんらに卸していたので。魚が映えるので、ということで」

田中さんの祖父・天田由次さん

現在の出張朝市ではスペースの都合上、お土産用の珠洲焼だけが店先に並びます。

てんだ商店・田中宏明さん「とりあえず珠洲焼からスタートしようかというのは、うちのじいちゃんがまず珠洲焼が大好きだったので…その、大好きだった珠洲焼からスタートしたかったというのはあります。置くところがないです…。そこがまず一番ですよね」

この日も、ボランティアで訪れた人や、常連客が足をとめて品物を眺めていました。

女性客「私これ持っとる」「震災前に買いました」
田中さん「ありがとうございます。また朝市に店を出しますので」

接客する田中さん(右)

観光客の受け入れがほとんどできず、売上が伸び悩む現状の中、田中さんは、移転ではなく、朝市通りでの再建をめざしています。田中さんに朝市通りを案内してもらいました。

てんだ商店・田中宏明さん「あそこの電柱にしがみついていました。若返りの箸と書いてあるところ」

地震の時、田中さんは店の様子を見に行こうと家を出た瞬間、隣から崩れてきた建物の下敷きになりました。

てんだ商店・田中宏明さん「まず全身が埋まったのが10分間。で、足が抜けなくて、結局抜けたのが1時間半です。20分埋まっていたら死んでいたので。窒息してたと言われていたので。ギリギリですね」

腰を骨折するなどしてすぐに入院した田中さんが、退院後に目にしたのは、大規模な火事によって変わり果てた朝市の光景でした。

朝市を眺める田中さん

てんだ商店・田中宏明さん「金庫だけあったので、それは取り出せました。祖父からのプレゼントですね。必ずここに戻りたいという気持ちがあるので…気持ちを切らさないようにここにきていました。また再建するぞという気持ちがあったので」

この場所での再建を決意した田中さん。
資金面では再建への目処が立ちました。しかし…