〇断水解消=元の生活ではない
1月21日より洗濯が困難なみなさまを助けてくださっていた、災害洗濯支援チーム(DSAT)さんより、7月より洗濯クリーニング支援の受付を一時停止するという苦渋の発表がなされました。
能登半島地震できっかけに発足したDSATさんは、国家資格である「クリーニング師」による災害洗濯支援チームです。石川県内のクリーニング屋さんと連携を取り、断水地区を中心として、たくさんの方を助けてくださいました。
町野町でも断水時期が長く、発災からひと月ほどは洗濯もままならず、山の水などでどうにか洗濯を試みたり、少ない生活用水を工夫して下着だけでも洗って過ごしたり、という状況が続いておりました。
まだ雪の降る1月や2月、脱水をする手がかじかんで上手く絞れず、支援に入ってくださった方に、脱水器を届けていただいたこともありました。
どうにか洗濯ができても、今度は乾かす場所なく、机を逆さまにして足にロープを渡すなどしながらどうにか工夫して乾かしていたところに、支援物資ご提供のお申し出をいただき、室内物干しを届けていただいたことを、今でも覚えています。

このような状況ですから、当然上着や毛布などは洗うことはできず、みなさん避難当初の汚れた状態で我慢しながら過ごしておりました。
DSATさんは、発災からの半年間、日常の衣類をはじめ、冬の雨雪で汚れてしまった上着、地震後の雨漏りで駄目になってしまった毛布などの寝具をクリーニングして、新品のような綺麗な状態にして届けてくださる洗濯支援を続けてくださいました。
町野町や近隣地区の能登町でもたくさんの方が助けていただき、本当にお世話になりました。
生活に最低限必要なもののみならず、大切に受け継がれてきた着物や、お正月に新調したばかりのカーペットやラグなども受け入れてくださり、みなさまの気持ちを洗濯で明るく照らしてくださいました。
断水が解消したからといって、すぐに元の生活に戻れるわけではありません。
町野町では、建設中だった仮設住宅の残り70戸が完成し、7月下旬に入居が始まります。
広域避難を続けていらっしゃった方が、仮設住宅を拠点としてようやくご自宅の片付けなどに入ることができるのです。
ライフラインの復旧や、仮設住宅への入居はゴールではありません。現地にとっては、やっと生活の復旧のためのスタートラインに立っている状況です。
能登半島地震をきっかけに始まった新しい災害支援があること、そして、このような災害洗濯支援でまだまだ沢山の方を助けていただけることを、どうか知っていただければと思います。
