〇仮設住宅の完成と避難所の閉鎖

6月27日に行われた知事記者会見において、原則8月中の仮設住宅の完成が改めて発表されました。仮設住宅の完成に伴い、避難所の閉鎖が行われております。

町野町でも仮設住宅の入居が始まり、避難所を退所される方も増えてきました。曽々木にあるふるさと体験実習館は、7月7日に閉鎖されましたが、7月中旬の段階でもまだ数世帯の方々が残られていらっしゃいます。
東大野の町野町第2団地の鍵渡しは、7月24日と7月25日、希望される全員の方が入居できることを祈るばかりです。

町野町の発災時の避難所は、倒壊家屋が多かったこともあり、非常に多くの人が避難しており、発災時は寝返りも打てないほどでした。

冷たい体育館の床の上に段ボールや布団、毛布などを敷き、数台のストーブでどうにか暖をとりながら、電気も水も止まった避難所で過ごしていたのです。

底冷えのする1月の避難所で、どうにか温かく少しでも快適に過ごせないかと、自宅などから畳を運んできた人もいらっしゃいました。

そんな中、まだ発災間もない1月から、避難所に必要な枚数の畳を無料で届ける「5日で5000枚の約束。」プロジェクトが、全国の畳店の方々によって動いておりました。

七尾市総合体育館の避難所は、畳の上に段ボールテント 提供:「5日で5000枚の約束。」プロジェクト

この避難所のお写真は、6月中旬に閉鎖した、七尾総合体育館避難所の3月27日時点のものです。

プロジェクトメンバーの方が届けてくださった畳の上に、ダンボールテントが設置され、プライバシーにも配慮されています。

さらに団らんスペースや、昼寝や食事が出来る場所あることで、避難所で過ごす方に少しでも快適に過ごしていただきたいという気遣いがうかがえます。

畳が入るまでは土足で過ごされる方が多かったのですが、畳があることで自然に靴を脱いでくださるようになり、さらには自主的に掃除を行ってくださる方も出てきて、衛生環境も改善されるという効果が生まれました。

避難所で度々問題となっている、スリッパなどによる足音の問題も、軽減されました。

「5日で5000枚の約束。」プロジェクトのホームページには、時系列ごとに取り組みの状況が掲載されております。

災害協定を結んでいる市町に、ただ畳を運ぶだけではなく、丁寧なヒアリングを行って実施されていることがわかります。

さらに、避難所にお届けした畳は、避難所集約時の際に移設などが行われました。

七尾市総合体育館が最終的に全面の畳敷きになったのには、こうした背景があります。

また、より衛生的にご利用いただけるように、プロジェクトメンバーの方が月に一回は避難所をまわり、状況を確認しながらアドバイスも行ってくださっております。

畳を届けて終わりではなく、その後も寄り添い続ける姿勢に、たくさんの人が助けられたことと思います。

今後、すべての避難所が閉鎖となった場合は、地域のお祭りや文化行事で利用していただくなど、処分ありきではなく、まだ使えそうな畳は再利用も過去の事例から考えられております。

今回の能登半島地震では、避難所の状況や道路状況の問題もあり、すべての市町に届けられたわけではなく、また、畳をお届けできた避難所のすべてが七尾総合体育館避難所のような活用がなされたわけではありませんが、それでも、この段ボールテントのひとつひとつに避難者の方がいらっしゃったこと、閉鎖までの間にたくさんの方が過ごされたことを、ぜひとも知っていただければと思います。

平時の防災訓練、防災イベントなどでも、災害時の避難所の環境が少しでもよくなるように、こうした取り組みがあることを、知る機会を少しでも増やすきっかけになることを願っております。