二度と悲劇を繰り返さない。徹底した安全管理で、信頼を取り戻そうとした1年。しかし、その信頼を足元から揺るがす事態が相次ぎました。

▼高知県教育委員会 今城純子 教育長
「極めて由々しき事態。重く深刻に受け止めています。本当に申し訳ございません」

県内では2025年度、盗撮やわいせつ容疑などで教員4人が逮捕。逮捕者の数は、2019年以降で最多となりました。県教委は緊急のオンライン会議を開き、全ての教職員に再発防止を呼びかけました。また、各学校でも研修や点検が行われるなど、対応に追われました。

▼3年生の担任
「隣のクラスの先生と相談することが大切だと思った。一人になる時間を減らしていければと思う」
▼4年生の担任
「子どもたちを守らないといけない立場に教師はあるので、子どもたちの安全や安心を守りつつ、自分たちのプライベートも大事にしながらストレスを発散して(不祥事防止に)つなげたい」

県教委は不祥事の根絶にむけ、3つの行動変革を挙げ、各学校に取り組みを強化するよう呼びかけています。

◆3つの行動変革
(1)研修の見直しと転換
(2)教育者としての修養の徹底と内面を磨く努力
(3)組織的な対話の充実による安心・安全な職場文化の構築

相次ぐ不祥事。そして、過酷な労働環境。教育現場を覆う「空気」は、未来の教員たちにも影を落としています。

▼高知県教育委員会 今城純子 教育長
「全国的にも教員の志望者が減少しているという中で、今年度も厳しい状態が続いております」

2025年、県教委が行った小学校教員採用試験。合格者260人のうち、実に6割にあたる160人が「辞退」しました。採用予定数に30人ほど届かず、12月、2回目の試験を実施する異例の事態となっています。

辞退者を減らそうと、合格者にメッセージ動画を送るなど新たな試みも始まりました。

▼ビデオメッセージ
「現場(での勤務)が始まるまでは私たち教育委員会がみなさんの不安に寄り添っていきたいと思っています。この高知の地で子どもたちと一緒に「最高の笑顔」を咲かせましょう!」

県教委は、独自の時間外手当の増額や新たな勤務制度の導入など、「働き方改革」を進めることで人材確保に懸命です。

▼高知県教育委員会 今城純子 県教育長
「教員の働き方改革については今まで以上に強力にやっていきたいと考えています。教員の時間外在校等時間を減らしていくための取り組みもやっていかなければいけない」

「子どもの命」をどう守り、「教員の質と数」をどう確保するか。信頼回復への道のりは、まだ始まったばかりです。

2026年4月、高知市に「学びの多様化学校」が開設されます。不登校の中学生が通える学校で、生徒それぞれにあった教育プログラムが受けられます。15人が入学を希望していて、すでに定員に達しているということです。ここまで教育についてお伝えしました。