『渡邊美希子の母です。あの子がいなくなって考えたことがあります。それは、誰もが自信を持って生きていける社会があって、精神的に強くて優しい人が多ければ、こんな事件は起こらなかったのでは、ということ。』
こう語るのは、滋賀県に住む渡邊達子さん。2019年7月18日に起きた、京都アニメーションへの放火殺人事件(36人が犠牲)で、35歳だった、娘の美希子さんを亡くしました。
2022年にテレビ高知に入社し、記者として事件や事故の取材を担当してる私は、この事件が起きた時、大阪の大学に通う2年生でした。建物が激しく燃える映像をテレビで見て、絶句したのを覚えています。
高知市で行われた講演会で、達子さんはゆっくりと、事件の日のこと、変わり果てた娘と対面した時のことを話し始めました。被害者遺族の壮絶な経験と、想像もつかなかった心境でした。