
「サロメ」とは、王女の名。彼女は、牢屋に囚われた聖人・ヨカナーンに恋をしていたが、その思いはヨカナーンに拒まれていた。
そうした中、サロメの義理の父親であるヘロデ王が、宴の時、サロメに「踊りを披露してくれ。うまく踊れたら褒美に何でもやろう」と提案し、宴でサロメは素晴らしい踊りを披露して褒美を得た。
そして「褒美は何がいいか」聞かれたサロメは、「恋するヨカナーンの首をください」と、ねだった⋯。
こうしたストーリーの挿絵を描いていくビアズリーだが、語られていない場面を独自の解釈で描いたものもある。過激で大胆な描写は、時に批判も浴びた。
▼高知県立美術館 栁澤宏美 学芸員
「自分の解釈を入れて挿絵を作っているので、『物語と関係があるのか』と。本人も『内容と関係ない絵です』と書いてしまっている手紙もある」
時として物語は、彼の手によって、正しい線から“逸脱した作品”となった。










