高知県宿毛市にある100年続いてきた老舗和菓子店を紹介します。店を一人で切り盛りする80歳の「幡多弁おばちゃん」に密着しました。


(高橋金星堂 高橋節さん)
「11月2日で80歳になります大変やけど、店があるけん元気でおれるがかな?体もケアしながら、うん」


「よそへ行っちょっても『ここのが一番』ちかわいらしいに言うてくれて『僕のちっちゃい時から食べようけんね』言うてきてくれるががうれしいわね」


「『おばちゃん、ぼつぼつやってその代わり開けちょって!』とかね言うてくれるけんね」


「いつまでできるか…なるべくしていきたいがよね、店を」


大正12年創業の宿毛市にある老舗和菓子店高橋金星堂。100年続くこの店を1人で切り盛りするのが、3代目の高橋節(たかはし・みさお)さん80歳です。

店の名物は、あんこがたっぷり入った「大判焼き」と、“木の葉の形”をした「木の葉せんべい」。ほかにもたくさんのお菓子がありましたが、今でも残るのはこの2つだけです。

(高橋節さん)
「結婚してお父さんが来てくれたがやけど20年くらい前にガンでないなった。それまで、本当に私は楽なかったけど、自分で全部せんといかんなったから大変で、あんこを炊くことも覚えて、おせんべい焼くことも覚えて、20年くらい前から自分ひとりでしだした」


「あんこも北海道からきたあんこで、やっぱりおいしいものをみなさんにそのままの素材を使ったものでやりたいなと思って。昔はうんと甘いがが好きやったわけ私らが子どもの頃は、甘いものが少なかったからだんだん飽食の時代になってくるとちょっと甘すぎるのはいかんなと…ちょっとずつ、昔のままやなしに」


ひとつ120円。素朴な味が人気です。


(お客さん)
「おいしい、小豆が」
「(高橋さんは)優しいし、いつもきれいやし」
「感じがとってもいい」

(高橋節さん)
「もう寂れてしもうて、何とか頑張って、この店だけでも開けちょったら多少街の面影は保てるかなと思いよるけど、さみしいかぎり」


「本当にここで何でも揃うたが。どこっちゃいかんでも、年取ったらここにおったらええ言いよったら、今はスーパーまで行かんといかん、なかなか買い物にも行けれん。大変なってきよう」


「大変やけど店があるけん元気でおれるがかな?体もケアしながら、うん。みなさんが来てくれるとお話することもできるし昔のことも思い出すし、前みたいにいっぱいいっぱいはせんずくに年相応な商売で続けていきたい、できるだけ。みんなが『かまんかまんおばちゃんぼつぼつして!その代わり続けてえ言うてくれるけんね』それがうれしい」


「まぁ元気でがんばってますので、ぼつぼつしますけど、どうぞおいでてください」