当時のガザの日常について会田法行さんはこう話しています。

「人を傷つけるための道具をこうやって日常に持っていること自体がやっぱりすごく衝撃だったな」
ガザは、これまでに何度もイスラエル軍による空爆や戦車による侵攻などを受け、弱い立場の子どもや女性も犠牲になっていました。

会田さんはガザでの取材で、罪のない人々の命が奪われていくのを目の当たりにし、その惨状を伝えようとしてきました。

「僕が記録できるものっていいうのは本当に市井で暮らす人の日常なので、パレスチナでもイスラエル側でも突然失われる命があるわけで、そこの痛みとか苦しみとかをもっと理解してあげなくてはいけない」

11月24日からは戦闘が一時停止されて人質が開放されるなど、状況には改善の兆しも見えますが、会田さんはそれを複雑な思いで見ていました。

「停戦が合意されてね、いい方向へ向かうってのは嬉しいんですが、でもこれで根本的に解決するわけではないんだろうなっていう、なんか絶望感というか…」

『現場で起きたことをありのまま伝えることが仕事』というモットーでガザを撮り続けていた会田さん。
惨状を発信し続けても、戦闘が繰り返されることにやるせなさも感じいています。
「自分が撮った写真で何か世界が変わったらいいなっていう思いがあって行ってはいるんですが、そこが全く貢献できなかったっていうね、絶望感みたいのありますね」

イスラエルとパレスチナとの関係は、歴史や宗教、民族の問題、そして何度も繰り返されてきた戦闘による憎しみや悲しみが、複雑に絡み合っています。

会田さんはその憎しみの連鎖に世界がもっと目を向けるべきだと話します。
「やっぱり突然命が失われるっていうことの悲しさっていうのは、何人でも変わらないと思うので、こういうこと言うと青臭いような感じもしますが僕ら部外者はね、やっぱり青臭いことを言い続けて、双方のね、痛みを取り除いてあげる」

会田さんはこれまでも、十日町市などでガザの写真を展示してきました。
今後も写真や自身の経験を伝えることでガザの現実を発信していきたいと話していました。
