庭で飼っていた柴犬が…
舟山さんは、7.13水害を経験したある人の話が忘れられないと言います。
【キトンブルーのおうち 舟山和美さん】「その人は庭で柴犬を外飼いしていて、水が引けた時に、一目散に行って泥をかき分けて…。そしたら、犬の足が見えた。それを見た時、そこにひざまずいて泣き崩れたんだと言っていたんです…」
その後、2004年の中越地震や2007年の中越沖地震でも、避難所の中にペットを連れ込むことができず、車で寝泊まりする“車中避難”を選ぶ飼い主が多くいました。
【キトンブルーのおうち 舟山和美さん】「通路でケージに入れておいてとか、外の軒下につないでおいてとか、一緒に過ごせる所は少ない。アレルギーの方もいらっしゃるし…。そういう現実を考えると、ペットを連れた人たちだけの空間をつくってもらったら多少いいじゃないと思って」
舟山さんは去年8月に、ペットと飼い主が共に過ごせる『同伴避難場所』の設置を、三条市長に直接要望したのです。
実際、新潟県内の避難所のペット対応はどうなっているのか?全30市町村に調査しました。

ペットの専用スペースを設けているのは新潟市、新発田市、燕市、妙高市、弥彦村。特に妙高市は、2つの避難所でペットとの同伴が可能です。この他の市町村でも、同行避難可能もしくは受入れ拒否はしないとは答えたものの、基本的にペットは屋内には入れないというものでした。

新潟県動物愛護センターの遠山潤センター長は、自治体の対応はまだ十分ではないと指摘します。
【県動物愛護センター 遠山潤センター長】「ペットを連れて来る避難者がいることはどこの避難所の運営者も分かっているけど、具体的にどんな準備をしたらいいのか皆さん分かっていない」
そこでペットを連れて躊躇なく避難できる体制を作ろうと、新潟県では去年「ペット同行避難所運営マニュアル」を作成。そこに示されていたのは自治体の役割だけではなく、飼い主たちが“互いに助け合う”ということでした。

【県動物愛護センター 遠山潤センター長】「避難所の設置者は災害が起きた時、本当に忙しくなる。ペットのことまで手が回らないというのが現実だと思う。そういった中で飼い主が、自らペット用の避難所をつくる。ペットは家族ですけど、あくまでも飼い主の財産ですから。それを守るのは避難所側ではなくて飼い主そのものだと思う」
