身元保証を求める大家側の事情とは…
一方、大家側にとっては身元保証を必要とする切実な理由があります。
例えば、入居者が家賃を滞納したとしても法律上、簡単には追い出すことはできません。

【不動産仲介業者】
「入居者側の都合による退去の場合は30日前予告ということで通知をして退去をすることが簡単にできるが、大家さん側から家賃を滞納したから出ていけというのがなかなか簡単にできない。判例とかで3か月分以上の滞納であることプラス入居者との連絡がまったくできないとか」
さらに別の不動産関係者はこんな問題も指摘します。

【不動産関係者】
「本当に身軽な人って2、3日住んで『飛んで行った』とか、解約しますと言ってくれればいいけど、解約しますと言わずに飛ばれてしまうとアパートの中の荷物ってまだ所有者の物なんですよ。所有権がその人の物なので勝手に処分もできないし」
ある日突然、入居者が出ていって部屋に物が残されていた場合、大家が勝手に処分すると訴えられるリスクもあります。
【不動産関係者】
「トラブルがあって退去してくださいということがなかなかできないとなると、保証人の方にお願いするというのが通常。でも、それすらないということは何も担保されるものがないということになってしまうので、今の法律だとやむを得ないところもあるよねという風な認識」
身寄りなし問題研究会の須貝さんはこうした背景もあり、「大家や不動産会社の考え方は分かる」と理解を示しています。
【須貝代表】
「家賃滞納した時、じゃあどうすればいいのか。孤独死したときとか、遺体は、葬儀はどうすればいいのか。残ったものをどうやって処分すればいいのかっていう現実的な問題があるわけなので、やっぱり身元保証というところ連帯保証を求めるところは致し方ないところなのかなとは思う」