
【韓国の尹德敏駐日大使】
「彼らのいろいろな犠牲もあったと思うんですけど、そこに関しての詳しい案内はないですよね。立派なところもあるんですけれどもマイナスの歴史もあるわけですから、全体の歴史をなんとか表示できるような形でやる必要があるんじゃないかと。我々は反対していないということです。」
明治時代に開削された機械掘り坑道「道遊坑」には、「昭和14年、朝鮮人労働者の日本への動員」などと朝鮮人に関する記述はみられるものの「強制労働」という文字はどこにも書かれていません。花角知事は、尹駐日大使が要望した歴史の表示について以下のように述べています。
【花角英世・新潟県知事】
「そうした趣旨のことを仰ったのは事実ですが、私の方からはその点については、政府間で丁寧に議論していくと承知していますとお答えをしています」
花角知事は「外交問題に関わってくるため国でないと議論はできない」と述べるにとどめました。ただ、今回「佐渡島の金山」で申請している登録範囲は朝鮮人労働者が働いていた近代ではなく、戦国時代から江戸時代の遺産で「強制労働」について日本政府や県は「文化遺産の価値とは別の問題」との認識を示しています。
世界遺産委員会の議長のほか、10年間にわたりユネスコの事務局長を務めた経験があり、世界遺産委員会の議長も務めたことがある松浦晃一郎さんはこの日本側の認識について誰が見ても価値があると分かるようにするべきと指摘します。

【世界遺産委員会・松浦晃一郎元議長】
「(世界遺産は)顕著な世界的な価値を持っていると。誰が見てもこれは世界的な価値があると分かるようなものでなきゃいけない。世界遺産の対象期間ではないから別問題であるという議論は通用しないと思います」