「青森新時代の挑戦」と銘打った新年度当初予算案を、青森県の宮下宗一郎知事が発表しました。予算の総額は7095億円で、都道府県単位では全国初の「不妊治療費を全額助成する事業」などが盛り込まれています。
宮下知事は19日、新年度当初予算案を発表しました。総額は7095億円で、今年度より73億円の増額です。財源不足を補うための基金の取り崩しは、9年連続で「ゼロ」とし収支均衡を継続させる計画です。
そのうえで、宮下県政の独自色を強く打ち出し、県の基本計画「青森新時代」への架け橋に掲げた仕事や健康、それに子供など7つの政策分野には577の事業で、あわせて2211億円あまりを盛り込みました。
青森県 宮下宗一郎 知事
「2025年は青森県を挑戦のフィールドにする、スタートの年にしたいと考えています。全国に誇れる取り組みを単にやるだけではなく、やり方も含めて複数やっていって青森県だからできる自信を深めていって、若い人に伝わるように取り組んでいきたい」
新年度予算案の主な事業です。
合計特殊出生率2以上を目指す「青森モデル」の実現には、74億円あまりをあてています。これにより、都道府県単位では全国で初めて、不妊治療と生殖補助医療の自己負担額を全額助成するとしています。また、子供が平日の夜間や休日に体調を崩した時に対応する小児科のオンライン診療は、2026年4月から本格的に実施するための体制を構築する計画です。
青森県 宮下宗一郎 知事
「今年1年でどうにかなる問題ではなくて、2040年が一定の目標の期間。目標に向けたスタートを切っているということですので、無償化が各分野で進み、保育の環境を整えるきっかけになる1年にしていきたい」
そして、宮下県政の柱の1つ、教育改革の関連経費には37億3000万円をあてました。データの共有ツールを使い、県立学校でテストの成績や出欠状況を学校・保護者が確認できるようにします。また、2027年度から県立学校の入試でWEB出願を実施するためにシステムを導入する予定です。
このほかにも、災害への対策を強化する事業で3億1900万円を盛り込み、避難所を開設する時に用意する資機材を現在の4品目から17品目に増やすなどとしています。
宮下知事は新年度当初予算案を21日に開会する定例県議会へ提案し、「青森新時代」に向けて山積する課題に取り組む考えです。
このほかにも、新年度では、大規模な施設を整備する事業が動き出します。
統合新病院の関連では、県営スケート場の移転に向けた基本計画の策定が始まります。新しいスケート場を供用するための準備期間は、現時点では早くても30年度と見込まれています。
県立中央病院と青森市民病院の統合新病院は、新年度当初予算案では3億2700万円が盛り込まれています。基本設計をしながら、地下水を調査して工事の方法を検討する計画です。
また、統合新病院が整備候補地となった県営スケート場は、新年度から移転に向けた検討が始まります。予算2100万円で基本計画を策定する方針です。
現在のスケート場は26年度の「あおもり国スポ」が終わったあと、解体工事を始める予定です。
そして、新しいスケート場を供用するための準備を始める時期は、現時点の見込みでは県が直接整備する場合は30年度から、民間事業者に施設の整備とサービスの提供をゆだねる場合は31年度となっています。
青森県 宮下宗一郎 知事
「(青森市と)来年度の当初から、どういう形にするかを連携して取り組んでいきたい。まずは協議を始めることが大事。まちづくりに県としても協力することが大事」
このほかにも、公共施設の整備が検討されています。
黒石市の「りんご研究所」をリニューアルした「りんごイノベーションセンター(仮称)」は、新年度から工事を始め27年度に完成させる予定です。
また、青森市で現在休館している宿泊施設「旧ラ・プラス青い森」は、改修工事をして県の庁舎として27年度から転用する計画です。