「火縄銃と変わらない構造」「黒色火薬は不安定。静電気でも発火」

 安倍元総理の命を奪った「手製の銃」。銃器の専門家はその製造は難しくないと言います。

 (銃器評論家 津田哲也さん)
 「一般の人たちは現代銃の連発式の高性能のものを想像されるから、手作りじゃ難しいとお考えになると思うんですが、今回の犯行に使われたのは極めて原始的な火縄銃と変わらない構造なんですよ」

 YouTubeに投稿されている「銃の作り方」と題した海外の動画では、実際に発砲できる様子まで紹介しています。こうした投稿はインターネット上にあふれていて、知識さえ手に入れれば銃を誰でも作れてしまうといいます。

 (銃器評論家 津田哲也さん)
 「(Qどんな資材が必要?)材料で必要なものは金属製のパイプ、鉄ないしステンレスの強度のあるものです。あと後方を閉じるための部品。火薬の方はといいますと、市販されている花火をほぐせば手に入りますし、そうでなくても材料になるものは通信販売で全部そろうんですよ。資格がいるようなものはありませんし、特殊なものもありませんし、どこにでも出回っていて、誰が買ってもおとがめがないようなものばかりですから。数千円、まず1万円を超えることはないと思います」

 実際、今回の事件に限らず、2018年には拳銃や実弾を製造したなどとして兵庫県姫路市の会社員が逮捕される事件も起きていて、動画サイトが参考になったとされています。

 しかし、津田さんは、銃の製造は法を犯すことにとどまらず、自らの命を危険にさらすと強く警鐘を鳴らします。

 (銃器評論家 津田哲也さん)
 「火薬そのものが、黒色火薬は不安定なんですよ。静電気でも発火することがあるんですよ。だから事故のもとです。下手をすると本当に作った本人が爆死する可能性もあるわけですし、できあがったものも火薬の量を誤ったら銃が破裂して大けがをする、そういうリスクがあります。だから安易にいたずらで真似をするようなものではないです」

 銃の密造行為については、武器等製造法という法律により、製造で3年以上の懲役(※営利目的を除く)となっています。津田さんは手製の銃への有効な対策について、ネット上にある銃の作り方の情報を規制して遮断するのは難しいとして、この法律の厳罰化が効果的だとしています。