”タタキ”の仕事「想像できなかった、追い込まれていた」指示役からのテレグラムに回答し…
「できるだけ違法でない仕事がしたい」と考えていた一方で、“闇バイト” の掲示板に載っていたテレグラムの連絡先に手当たり次第にメッセージを送った。これが、被告が今回の事件に加担する始まりとなってしまった。
その後、「ミツハシ」と名乗る人物から返信が来た。身分証明書を要求され、送信し、友人の40万の借金があり、その返済に間に合うかたずねたところ、返ってきた答えは…
「だったらもっと安全な仕事があるよ。“タタキ” の仕事です」
被告にはこの時、“タタキ” の意味が分からなかった。ミツハシに尋ねるとー
『家族がグルになっていて、家の中で手引きしてくれて、簡単に家に入れる強盗。誰もいないときに案内してくれて、もし人がいても家族が見張っててくれる、犯罪にならない』
「犯罪にならないのならやりたい」。それが被告の答えだった。
― そんなことが実際にあると思いましたか?
思いました。そのときは視野がせばまっていて納得してしまいました。
― なぜミツハシを信じてしまったと思いますか? そんなことでおさまると思いましたか?
想像できませんでした。追い込まれていて、ほかに考えが回らなかったのも原因の1つだと思います。
その後、ミツハシから「詳しい説明は上司からする」と告げられ、テレグラムでキムと名乗る人物から連メッセージが送られてきた。
― どんな内容の連絡が来ましたか?
『闇バイトの経験ある?』ときた後に長文で【身長】【名前】【家族構成】【格闘技経験】【人を容赦なく蹴ったりできるか?】などが書かれたチェックシートが送られてきました。
― チェックシートの質問にどう答えましたか?
【闇バイトの経験】は「いいえ」、【格闘技経験】は「いいえ」、【人のことを殴ったり蹴ったりできるか?】には「はい」と答えました。
― キムからのメッセージで『人を蹴ったり殴ったりできるか?』という質問に「はい」と答えたのは最初から犯罪に参加するつもりだったということですか?
ちがいます。すべての質問に「いいえ」だと続きが聞けないと思ったからです。(この質問に)インパクトがあったので。やる気を試されているような気がしました。
― 実際に人を蹴ったり殴ったりする仕事だとは思いませんでしたか?
思いませんでした。
ミツハシと同様に免許証を要求され送信、『案件決まり次第、連絡します』と。その後、何日か経って、再びキムから連絡が来た。
「広島で案件がありそうです」
その後、被告はキムとミツハシのそれぞれに何をするか確認したのだという。ミツハシには「上司から伝えます」、キムからは「明日また伝えます」と言われ、結局、連絡が来たのは事件の前日のことだった。
キム『東京駅集合です』














