「内容を聞いていなかった」そのまま東京駅から広島へ…指示役『広島まで来て逃げることは絶対に許さないからな』

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ー 『東京駅集合』のメッセージが来てからどうしましたか?
内容を聞いていなかったし、「お金がなくて東京駅に行くことができないです」と伝えました。

するとキムから「交通費を振り込むからキャッシュカードの番号を教えて」と言われ、翌日の朝に東京駅までの電車代が振り込まれていた。

被告
「お金が振り込まれていたので行くしかないと思いました」

― なぜ「行くしかない」と?
今まではメッセージ上でやりとりをしていて(相手に)危害を加えていなかったけれど、お金を振り込まれてしまったら「参加しなければ何か嫌なことをされるのではないか」と思ったからです。もうお金を振り込まれていて、行かない言い訳ができませんでした。

― 「行くしかない」と思うまでに辞めようとは?
1歩踏み出して考えられず、ミツハシを信じていました。犯罪にならなければいいと思っていました。

当日、被告は東京駅に向かい、ほかの共犯者とともに新幹線で広島駅に向かうことになった。

― 新幹線の中で今回の事件の説明はありましたか?
少しありました。行く場所の写真や乗っていく車の写真、金庫があるであろう場所の写真などです。結束バンドについて『制圧したらこれで縛ります』と言われました。

― それを聞いてどう思いましたか?
よく意味が分かりませんでした。

隣りに座っていた共犯者の男にたずねるも、答えが出ないまま広島駅に到着していた。共犯者とともに車に乗り込み、現場へ移動することになった。

― 車に乗ったときに道具はありましたか?
案内役が持ってきました。マスク・帽子・軍手・結束バンド・ガムテープ・工具1つと宅配業者の服装2着と段ボールです。

車を出発する直前にキムから誰かのスマートフォンに長文のメッセージが来たという。住民を制圧して2階で見張りをするA班と、時計を回収する役目のB班に分かれて行動すること、撤収時に乗り換え用の車があることなどが説明された。

『広島まで来て逃げることは絶対に許さないからな』『制圧するときに殴ったり蹴ったりしないと報酬を渡しません。でも殺してはいけません』

これが、現場に向かう車内でキムから伝えられた言葉だった。

「自分には殴ったり蹴ったりは絶対にできないと思いました」

ー それはなぜですか?
今までそんなことをしたことは一度もないし、普通に考えてできないと思っていました。考えがまとまりませんでした。逃げたいけれど、人のことも殴れないし、どうしようと。どうしようと思っていたら現場に着いてしまいました。