東部地区でのロシア軍の優勢が伝えられるウクライナの戦況。使用される武器も少しずつ変わってきている。巻き返しを図るウクライナは今どんな武器を欲しがっているのか…。今回は兵器に焦点を絞り戦況を読み解いた。
■「1日で5~60発が不発弾として残る」
番組ではウクライナの最前線で戦う兵士を独自に取材することができた。彼はロシア国境に近いハルキウなどでロシアからの激しい攻撃にさらされている。ロシアは第二次大戦後にも大量の武器を製造していて、今も新しい武器だけでなく1960年代から70年代のものも使って攻撃を仕掛けているという。古いものは古いもので逆に厄介だという。

特殊部隊「クラーケン」兵士 エフゲン・シキルコフ氏
「ロシアのベルゴロド市から発射されるミサイルは1分半以下でハルキウに飛んできます。(中略)ロシアは色々な兵器を沢山持っています。新しい武器もありますがロシアが使う武器は古いものが多い。経験では6発発射されたのに3~4回しか爆発しない。つまり2、3発の砲弾が不発弾として残ることになる。ロシアの弾薬は山ほどあるから砲撃は絶えない。その6発のうち2発が爆発しないとすると1日で5~60発が不発弾として残る。それが森や街に残っている。それを除去しないと子どもや民間人が危険です」
彼がインタビューを受けてくれた部屋。それを見ると古い銃も見える。西側から提供された武器は対戦車砲が多いようだ。

一方でロシアからの攻撃はミサイルや空から地雷を降らせるような攻撃もあるという。今どんなものが戦地で必要なのかを聞いた。
特殊部隊「クラーケン」兵士 エフゲン・シキルコフ氏
「今我々に必要な武器は、射程の長い重火器です。またミサイルを迎撃する防空システム。この2つの優先順位が高いです」
弾薬が無尽蔵にあるロシアの砲撃は、大まかに目標を決め、そのエリアを面で攻撃する。ロシアが使う弾薬の量は圧倒的だ。その中の何発かが爆発しなくても「お構いなし」だと、東大先端研の小泉氏は言う。
東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「ロシア軍が秋に大演習をする。そこで1週間くらい本番フェーズで弾薬を使うんですが、それが10万トン。どのくらいなのかイメージが掴めませんが、自衛隊の総備蓄弾薬が大体10数万トンと言われています。(中略)今回の戦争でも4か月半、気前よく撃ち続けているわけですから、ソ連時代から貯めてきた備蓄弾薬を放出してるんでしょうね」
もちろん弾薬にも使用期限はあるが、古かろうが湿気っていようがロシアは気にしないと小泉氏は言う。
東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「人命重視で考えれば、古い弾薬は不発弾がこのくらい出るから危険だとか気にするのでしょうが、ロシアがそういうことを気にしてるようには見えない」