■「我々はまだ何ひとつ本気を出していない」

何かのセリフのようだが、これは7月7日、ロシア大統領府で発せられたプーチン氏の言葉だ。


プーチン大統領
「彼ら(西側諸国)は我々を戦場で敗北させようとしているようだが、やってもらおうではないか。我々はまだ何ひとつ本気を出していない」

この発言が何を意味するのかスタジオの諸氏に聞いた。

防衛研究所 高橋杉雄 政策研究研究室長
「ロシアの軍事評論家が我々はまだ総動員をかけていないのだと言った。総動員をかける前の特別軍事作戦でここまでウクライナを破壊している。(中略)本気というのは総動員のことだと思う」

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「こういうこと言う奴はクラスに一人くらいいる。だったらなんで本気出さないの、ってことになる。多くの場合、怠惰であったり、そんな実力なかったり(中略)、ロシアには本気を出せない理由があった。本気が核だった場合、いかに限定的であっても西側の反応が読めない。全面核戦争は望んでない。ロシアは核で西側を脅すけれど、西側の核抑止力もロシアに効いてるということです。総動員はなぜできないのかというと、国内向けの事情でしょう。今は特別軍事作戦で限られた人たちが遠くでやってる感じですけど、全体が戦争に巻き込まれて、みんな戦争に行かされて、物の値段は国が決め、3交代制で24時間勤務して、そういうことをプーチンは国民に言い出せないんですよ。本気を出した時プーチンの権力が持つか不安で出来ないんだと思います」

番組のニュース解説、堤氏は「私にはプーチン氏の強がりに見える」としながらも、大前提をこう語った。

国際情報誌『フォーサイト』元編集長 堤伸輔氏
「ひどい言葉ですよ。あれだけウクライナの人を子ども含め殺しておいて、それで“まだ本気出していない”と言うのは、まともな人間の神経ではないと言わなければならない。」

(BS-TBS 『報道1930』 7月13日放送より)