能登半島を襲った津波は、震源が沿岸に近かったことから到達が早かったとも言われています。想定よりも「早く来る」津波の存在。意外と知られていない、その実態に迫ります。

石川県能登町の海沿いの町を襲った津波。住民らを取材すると、当時、想定外のことが起きていたと話します。

能登町白丸地区の住民
「娘が叫んで『お母さん早く!津波、もうここまで来てるよ』って。『えー』っと思った」
「放送では(津波は)5時到達予定やったかな」

住民らが話した津波の到達予想時間は、午後5時ごろ。しかし、実際には4時38分には津波が押し寄せていたとみられています。

「想定よりも早くやって来る津波」。今後30年以内の発生確率が「70%から80%」とされる南海トラフ地震でも、「早い津波」の危険が指摘されています。

これは、大阪の各自治体が公表している津波被害のハザードマップ。大阪市に津波が到達するのは110分後、大阪南部の貝塚市は、およそ90分と記されています。しかし、これは、「1メートルの津波」が来る想定時間です。

実は、大阪府は「20センチの津波」の到達時間も試算していますが、ハザードマップには掲載されていません。20センチの津波は、大阪市には68分後、貝塚市は31分後には到達するとされ、1メートルの津波より57分も早く来る想定です。

貝塚市民
「全然違うやん、30何分か、早すぎるな」
「えらいこっちゃなと思います。(避難に)90分ゆとりがあるのに、それが半分以下になるわけでしょ?」
「びっくりしかないです。30分にしといてくれたら、もっと意識が変わるかなと思います」

早くやってくる1メートル以下の津波。その威力とはどんなものなのか?身長182センチ、体重82キロの記者が体験しました。

起こす津波の高さは30センチから50センチ。全く踏ん張ることができず、流されてしまいました。

記者
「気づいたら倒されていました。そして、あっという間に鼻や口の中に水が入って、溺れてしまっている状態でした」

これでも津波注意報レベルの津波です。

中央大学理工学部 有川太郎教授
「海岸線に近いところにいる、海辺で遊んでいる、場合によっては川沿いで遊んでいる人も、20~30センチであっても危険なんだと理解していただければと思います」

早く到達する1メートル以下の津波の恐怖。こうした実態も知っておく必要があります。