自分だけ漁を再開していいのか・・・葛藤も “能登の名前を絶やしたくない”
能登の里海でも、一番の稼ぎ時に大地震が襲いました。
片山薫記者:
能登地方の名産の一つがカキです。多くで被災していますが一部の業者は漁を再開しています。

冬の味覚“能登かき”。石川県・七尾湾の名産品です。カキ養殖業の方に話を聞きました。
ーーカキ同士を叩いている理由は?
カキ養殖業 山口翔太さん
「ものすごい軽い音がするんですよ。 持ってみても実際に軽い。しっかりしたやつ(カキ)は低い音になる」
山口さんは、地震発生3日目から漁を再開しました。

片山記者:
カキを洗うための機械が津波で流されなかったことで、営業が再開出来ているということです。

今が出荷のピークですが、約40軒ある養殖業者の多くが漁を再開できていないそうです。
地震の被害は、石川県の69ある漁港の8割以上にあたる、60か所で確認され、190以上の漁船が転覆や沈没などをしているということです。
カキ養殖業 山口さんの父・達也さんは、ある葛藤を抱えていました。

カキ養殖業 山口さんの父 達也さん
「ここまで被害がひどいと廃業するしかないという話は何件か聞いています。(再開)できていない業者の方が沢山いるなかで、自分だけ始めてもよいのかなという、そういう思いもありましたが、やはり能登という名前のついた商品を絶やしたくないなと」

“能登の名前を絶やしたくない”。その原動力となっているのが顧客からの“応援メッセージ”です。

カキ養殖業 山口さん
「今頂いている注文のほとんどに、心温まるメッセージを頂いています。こういう言葉の重みというか、そういうものに僕は僕自身支えられていますし、こういうメッセージを頂いていなければ(カキ漁再開を)やっていたか、やっていないか、ちょっとわからないですね」