まもなく迎える夏休みの前に旅行需要が急増している。JTBがまとめた今年の夏休みの旅行動向によると、国内旅行者数は7000万人で去年から大幅に増加すると予想しており、コロナ前の2019年とほぼ同じ水準だ。JTBの山北栄二郎社長を迎え、この夏の反転攻勢に向けた戦略について聞いた。
■「非常に画期的」日本が観光魅力度ランキング1位 インバウンド復活へ

今年の夏休みの国内旅行者数はコロナ前とほぼ同水準の予想だ。手ごたえは?
JTB 山北栄二郎社長(1987年 日本交通公社入社、経営企画や欧州事業などを経て2020年6月 JTB社長に就任):
2年半を経て少しずつ動くムードが高まってきて、明るい兆しが出ています。旅行に行きたい、人と交流したいという思いがずっと募ってきていたので、第6波までの間でいろんなことを経験しながら、皆さん安全対策もしっかり取りながら動いていただくという形ができてきていると思っています。
そこに更なる追い風が吹いている。世界経済フォーラムが発表した2021年の旅行観光の魅力度ランキングで、日本は初めて世界1位に選ばれたのだ。

JTB 山北社長:
今まで日本は4位までしかなったことがありませんでした。ご覧のとおりアメリカ、スペイン、フランスは非常に観光大国で、たくさんの方がいらっしゃる。それを差し置いて日本がトップになったのは非常に画期的なことだと思います。
国際ランキングで日本が1位というのは最近では珍しいことだ。何がそんなに評価されているのだろうか?
JTB 山北社長:
食や社会インフラ、文化度などさまざまな観点から関心が非常に高くなってきていること、安全であるということが非常に評価されてこうなったと。やはりインバウンドのもたらす効果は非常に幅広いので、ぜひインバウンドの受け入れは進めていければと思います。
千葉商科大学 磯山友幸教授(日本経済新聞で証券部記者、「日経ビジネス」編集委員など歴任):
本当に日本に行きたいという人は猛烈に増えるわけです。ひとつの要因は円安で、日本に来るのが安いというのが、かなり大きいと思います。山北社長にお伺いしたいのですが、日本が旅行業としてもうけるためには、インバウンドで入ってきてくれる人の料金設定を上げられるかと。そうなると日本人にとっては高いということなので、そのあたりのバランスをどうとりながらもうかる産業にしていくのかということだと思うのですが。
JTB 山北社長:
単価を上げると申し上げましたが、単純に宿泊費が上がるとかそういうことももちろん必要なのですが、やはり派生する需要をどれだけ作っていけるかということで全体消費がグッと上がると。