世界最多 台湾へのフェイクニュース流入

そしてもうひとつ、台湾を揺さぶろうと中国が仕掛けているのがフェイクニュースだ。

スウェーデンの研究機関の調査によると、台湾は9年連続、世界で最も海外から流入するフェイクニュースにさらされているという。

先月には、中国共産党関係者からの指示で偽の世論調査を流した疑いで、台湾のネットメディアの記者が拘束された。国民党が優勢と報じた記事で、およそ900人に聞き取りしたとされていたが、調査自体、全く行われていなかった。こうした中…

日下部キャスター
「台湾の最高検察署です。偽情報、フェイクニュースのチェックについては、これまで民間団体が主導してきたわけですが、総統選挙を前に検察も取り締まりに乗り出すことになりました」

検察が新たに設けたのが、高度化した偽情報=ディープフェイクなどの取り締まりを専門にする部署だ。フェイクニュースの通報を受け付けているほか、選挙までの1か月間は24時間体制で監視に当たっている。

現場の検察官は「海外からのフェイクニュースが増えている」と証言する。

鄭 銘謙 台北地方検察長
「発信元を追いきれないことがあるので、捜査にはとても困難が伴います」

犯人の特定は困難なため、最優先事項は“間違った情報を正すこと”だという。

鄭 銘謙 台北地方検察長
「まずは情報の真偽を確認します。選挙結果に影響するのを避けるためにです。真偽が判明して、フェイクであれば取り下げさせ、記者向けに発表もします」

選挙まで1か月を切った取材時点で、重大案件として捜査中のものが12件あるという。

これはその中の1つのケースだ。台湾の複数のメディアに届いたメール。柯文哲氏本人だという音声が添付されていた。「頼清徳氏が金で支持者を集めた」などと語られていたが、音声はAIでつくられたフェイクだった。

偽音声
「1人当たり800台湾ドルを受け取って、彼(頼氏)を応援した」

台北地方検察 高 一書 主任検察官
「重大なフェイクは投票日の直前、2日前あたりで流されるんです。全力で、厳正に、迅速に、対応します」

中国が仕掛けるフェイクにどう向き合うのか。検察のトップ・検察総長が私たちの取材に応じた。

邢 泰釗 検察総長
「彼らはあらゆる手段を使います。フェイクはその一つにすぎません。投票の際、利益に釣られず、脅されたり、騙されたりすることなく、完全に自由な意思の下で一票を投票し、有能な人を選んでほしいと願っています。これが我々司法当局の使命であり、台湾人全員の共通認識だと思います」

フェイクについては厳罰化されていて、候補者のディープフェイクを流布、または放送した場合には最高で懲役7年の刑が科される。

一方で、権力側の取り締まりが行き過ぎることを懸念する声もある。それについては…

邢 泰釗 検察総長
「台湾は民主的で、言論の自由をとても重視しています。重大な悪意が証明されない限り、裁判所は憲法に定める言論の自由を保障し、罰しません。これが私たちが順守する原則です」