台湾の新たなリーダーを決める総統選挙が13日に行われ、与党・民進党の頼清徳氏が当選しました。ただ、同時に行われた議会選挙では民進党が過半数割れを起こすなど完全な形での勝利とはなりませんでした。
「台湾統一は歴史的必然だ」新年の演説で習近平国家主席はこう強調しました。
中国側が「独立勢力」とみなす民進党政権の長期化を避けたいと、中国は様々な形で選挙に介入しようとしていました。
台湾パイナップルにも中国の暗い影
民進党による長期政権を阻止したい中国。巧みな政治介入がビジネスに暗い影を落としている。

日下部正樹キャスター
「台湾南部の高雄市郊外にきています。収穫時期を過ぎて、実がなっていないので分かりにくいですが、これすべてパイナップル畑です」
高雄など台湾南部で数多く生産され、「芯まで甘い」と高い評価を得ているパイナップル。しかし2021年、産地に激震が走った。

輸出先の9割を占めていた中国が突然、台湾パイナップルの禁輸を打ち出したのだ。「害虫がついていた」というのが中国側の理由だが、台湾政府は「政治的圧力」だと反発している。禁輸以降、パイナップルの取引価格は2割ほど下落しているという。

――パイナップル農家の人とかすごく困ってるんじゃないですか?
卸売業
「もちろん影響は大きい」

男性
「中国は台湾の物の粗捜しをするからね。買い手がないわけじゃない。台湾パイナップルの品質はナンバーワン」

禁輸の対象となった台湾産の食品は2000品目に上った。その一つであるフルーツ「釈迦頭」。だが去年6月になって、中国は台東県の一部に限定して輸入を再開すると伝えてきた。
台東県のトップは国民党所属。中国側も「国民党からの強い要請があった」としている。
一方、禁輸が続くパイナップルの生産が盛んな高雄市のトップは民進党所属だ。
フルーツの輸出会社の社長、洪さんはこうした揺さぶりは、投票行動にも影響が出ると話す。

水木興業 洪偉誠 社長
「中国向けの市場に十数年取り組んできましたが、政治が原因で突然禁輸されたことで、当然農家への影響は大きい。政府に文句が出るのも当然のことだと思います」
――国民党政権のときと、民進党政権のときと、中国の態度っていうのは違いますか?
「全然ちがいます。台湾・中国の交流が再開した当初は、国民党政府が中国政府と交渉していました。台湾の農水産物も大半が中国へ輸出されていました。中国のように大きくて距離が近い市場に、代わるものは他にありません」