状況の把握と不安解消に必要なことは「孤立地域と“繋がる”こと」

小川キャスター:
いま把握できているだけでこういった状況、発生から10日目でこの様子というのは、どうご覧になっていますか。

小説家 真山仁さん:
戦後立て続けに大震災が起きているんですね。その震災を教訓にして、いろんな経験値を積んできていますが、ここに罠があるんです。今までの経験をベースにしていろんな対応をしますが、今回の地震には独特の特徴がある。

私は95年の阪神淡路大震災のとき、神戸に住んでいて被災しました。神戸は大都会なので被害も大変でしたが、やはり都会の力っていうのがありますよね。東日本大震災の場合は、日本海側からいろんなところにアプローチができました。

今回、一番被害の大きい能登半島はどこからも支援しにくい場所です。いま一番心配してるのは「我々はあそこで何が起きてるのか本当に分かっているのか」ということ。

(情報は)断片的に出てきますが、基本的なベースが把握できていなくて、まだ点の状態を拾って一生懸命それを伝える。中継が入れるところは場合によって、なんとなく「割と普通の生活をしているんじゃないか」と見えてしまう可能性もある

やはり今一番大事なのは、孤立してるところの不安を解消すること、“繋がる”ことです。
携帯の通信状況は先ほど言った通り、だめですよね。そうすると例えば、衛星携帯電話を日本中からドローンなどを使って、あるだけ供給してあげる。そうして初めていろんなところからの情報が集約できるんですよ。

現状で言うと、発生から10日にしては情報が少ない気がします。あれだけの大きな地震だったわりに、多くの人は「被害は意外に軽かったんじゃないか」と思い始めてる気が若干します。

小川キャスター:
皆さん気を張って答えてくださっているだけですよね、被災者の皆さんが。

真山仁さん:
ところが、どうも届いてないんじゃないか、という気がします。なので「早く伝えなきゃいけない、早く(被災地に)入らなきゃいけない」というのは大事なことです。しかしそうすると、ベースをすっ飛ばして、なくしてしまう可能性があるんです。

緊急措置が終わったので、落ち着いて「一体どこは完全に孤立しているのか」ということを冷静になってちゃんとしないと、気付いたらたくさん見落としがあって、後々取り返しがつかなくなってしまう、となってしまわないか少し心配ですね。

トラウデン直美さん:
真山さんおっしゃってたように、情報を得るためにももちろんですが、孤立されてる方の安心にも繋がるということが本当に大きいと思うので、一刻も早く繋がれるように何とかしていけたらなと思います。

いまは発生から10日でまだ「起こったばかりのこと」という感覚がありますが、一番大事なのは、“この先ちゃんと復興していけるか”だと思うので、私達も過ぎたことだと安心しないように、「どれぐらい復興できているかな」ということをちゃんと気にしていたいと思います。

小川キャスター:
風化というのは現地の人も最も恐れていることでもありますよね。そして、本当に孤立している地区というのも現在22地区とお伝えしましたが、これも“今わかっているだけでも”ということで、「いま見えている景色が全てではない」ということはしっかり頭に入れておきたいことですね。