「絶対大人になるまでには達成したい」紗那ちゃんの夢とは?

脳性まひの合併症でてんかんの持病もある紗那ちゃんは、発作を起こして救急車で運ばれることもあります。
それでも今は、杖で歩くことを目指してリハビリに励んでいます。
(脳性まひ児・鈴木紗那ちゃん)
「(リハビリは)大変っちゃ大変。まぁ自分が歩きたいっていう思いがあるから」
この日、紗那ちゃんがやってきたのは名古屋市港区のクリニック。

足を補助する装具が、新しく完成しました。新しくしたワケは足のサイズアップ。履いてみて、院長や母親と一緒に歩く練習をしました。
紗那ちゃんには歩けるようになったらやってみたいことがあります。

(脳性まひ児・鈴木紗那ちゃん)
「お城を絶対に落城させる!」
お城に登ることを「落城」と呼び、気分は戦国武将です。歴史漫画の内容を暗記するほど熟読し、「全国のお城巡りたい」と話す、歴史が好きな紗那ちゃん。しかし、車いすでは登れない天守閣も多くあります。
(脳性まひ児・鈴木紗那ちゃん)
「攻め落とす!(次は)大阪城、とりあえずエレベーターあるところから行く。絶対大人になるまでには達成したい」
個別審査で補償対象外とされた子どもは全国で500人以上

紗那ちゃんのように、個別審査で補償の対象外とされた子どもは全国に500人以上。
親たちは2021年夏ごろから「産科医療補償制度を考える親の会」を立ち上げ、補償を求めて署名活動を続けています。
(息子10歳が対象外に・秋原美香さん)
「(個別審査の廃止を聞いて)言葉が出なかった。『私たち個別審査で落ちたんですけど』って…(補償されないのは)不平等というか、おかしいと思う」

(息子9歳が対象外に・永島祥子さん)
「うちは寝返りができないが、そういう重度の子が対象外になって、療育環境に差が出ているのが親としては心苦しい」
国も対象外とされた子どもたちがいることは把握しています。
(厚労省医政局長)
「補償対象外は544件で(全体の)46.5%。剰余金の累計残高は635億円」
産科医療補償制度では、妊婦が分娩機関に支払う分娩費の一部を補償金にあてています。
現時点で635億円が残っていて、対象外とされた子ども全員に補償金を支払っても470億円以上残ります。
しかし、そのお金は「将来の子どものために残しておく」というのが国の主張です。

(母・鈴木千裕さん)
「未来のまだ姿かたちもない子どもたちに残したい理由の根拠を説明してほしい。150億円払ったところで潰れないでしょ。(対象外となった)500人の家族はもう潰れかかっている。うちもそうだが、毎日毎日必死で、明日大丈夫かなって不安の中で生きている」
CBCテレビ「チャント!」7月5日の放送より