「行政拘禁」は、テロを未然に防ぎ、国の安全を維持するために必要な措置
2022年までイスラエルの首相を務め、現在、中道野党を率いるヤイル・ラピド氏。50年以上も続く「行政拘禁」について、どう考えているのか。

イスラエル前首相 ヤイル・ラピド氏
「時には、迅速に手順を進める必要があります。もちろん理想の形ではありません。普段していることでもない。でも、選択の余地がない時もある。テロとの戦いは決して楽しいものでも、見栄えがいいものでもない。しかし、死を選ぶよりはましです。誰も死にたくないですから」

「行政拘禁」は、テロを未然に防ぎ、国の安全を維持するために必要な措置だという考えに、迷いはありませんでした。
1967年から続く「行政拘禁」 不条理が生む憎しみの連鎖
10月7日のハマスによるイスラエル襲撃後、刑務所では、アフメッドさんが「パレスチナ人」であることから復讐のような暴力が始まったといいます。
アフメッドさん
「ある日、刑務官たちがいきなり夜中に僕たちを殴ってきました。寝ているときに催涙スプレーや水をかけられることもありました」

アフメッドさんの母
「息子が帰ってきてとても嬉しかったです。ただ、まだ甥が収容されているので心配です」

一方、ハマスは、10月7日の襲撃で多くのイスラエル人を殺害、200人以上を人質に捕らえました。
自分の釈放が、人質と引き換えにかなったことをどう思っているのか。
記者
「ハマスが人質にした人々についてはどう思っていますか?」

アフメッドさん
「収容中、僕たちが味わった苦しみの方が大きいと思います」

表情を変えることもなく、淡々とそう話しました。
イスラエルによる「行政拘禁」は、1967年から続いてきました。
日常の中で何十年も続いてきた不条理が、少年を含む人々の心に憎しみの種を植えつけています。