通常の司法手続きを踏まず、軍の判断で拘束・収容できる「行政拘禁」

パレスチナ人の人権保護に取り組んできた弁護士は、イスラエル占領下のパレスチナ人に適用される司法制度に問題があると指摘します。

レア・ツェメル弁護士
「拘束時に法的根拠や裁判所の判断は必要ないのです」

イスラエルは1967年にパレスチナ自治区・ヨルダン川西岸を制圧して以来、パレスチナの住民をイスラエルの軍事法廷制度下に置いてきました。

そのため、司法手続きを踏むことなく、イスラエル軍の判断で拘束し、事実上、無期限に収容できてしまう「行政拘禁」が日常的に行われているのです。

レア・ツェメル弁護士
「治安当局が『この人物は国の安全を脅かすおそれがある』と報告書を書くだけで、裁判の正当な手続きなしに行政的に拘束できてしまう」

中東メディアは、現在イスラエルで収容されているパレスチナ人の3分1にあたる2000人以上が、この「行政拘禁」で捕まっているとしています。

イスラエル人でありながら、50年もの間占領下のパレスチナ人の人権を守るため奔走してきたツェメル弁護士。

イスラエルの人々には、今こそ抑圧される側の痛みを思い出してほしいと話します。

レア・ツェメル弁護士
「私たちユダヤ人には、世界中から追われ、虐げられてきた長い長い歴史があります。『やられて嫌だったことを他人にしない』、それだけです。私たちは、いつの間にかそれを忘れてしまったようです。私の願いは、人々がそれを思い出し、その通り生きるようになることです」