ハマスが拘束した人質と引き換えに釈放された、パレスチナの“囚人”たち。
その“囚人”の一人は、まだ瞳にあどけなさが残る少年だった。少年は身に覚えのない行為でイスラエル軍に拘束され、起訴されることも、求めた裁判が開かれることもないまま、17か月間刑務所に収容された。その背景には、イスラエル占領下で続いてきた“歪な司法制度”があった。

11月30日、深夜2時。パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の街で、多くの人々が家族の帰りを待ち構えていました。

記者
「女性が出てきました。多くの人たちが興奮した様子で釈放されたパレスチナ人を出迎えています」

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの大規模な戦闘が一時停止したこの時期、イスラエルはハマスが捕らえた人質と引き換えに、刑務所に収容していたパレスチナ人の女性や子ども240人を釈放したのです。

「兵士が僕の頭に銃を突きつけ…」“17か月”収容された17歳

パレスチナ自治区ヨルダン川西岸に住む17歳のアフメッドさん。
今回、自由の身となったうちの1人です。

イスラエル側に拘束されたのは、2022年の6月でした。

アフメッドさん(17)
「夜、寝ているとイスラエル兵が突然やってきました。兵士が僕の頭に銃を突きつけたので僕は両手を挙げました。『イスラエル人に向かって石を投げただろう、目撃者がいるんだぞ』と言われたのです」

投石について身に覚えはなかったということですが、抵抗する術はなく、そのまま連行。

拘束の根拠も示されず、起訴もされず、裁判を求めても聞き入れられないまま、17か月も収容されました。

なぜ、アフメッドさんは突然拘束されたのか。