ニューイヤー駅伝 in ぐんま(第68回全日本実業団対抗駅伝競走大会。群馬県庁発着の7区間100km)前日の12月31日、優勝候補チームの2人に話を聞くことができた。

富士通7区の中村匠吾(31)は東京五輪マラソン代表だった選手。服部勇馬(30、トヨタ自動車)も7区に出場するので、東京五輪マラソンを走った選手同士のアンカー決戦となる可能性がある。

相澤晃(26)は25回の最多優勝を誇る旭化成の3区を任された。12月10日の日本選手権10000mでは、自身の日本記録を5秒上回る27分13秒04をマークしたが3位。同レースで日本記録(27分09秒80)保持者となった塩尻和也(27、富士通)や、4位の田澤廉(23、トヨタ自動車)、前々回&前回と3区でトップに立った林田洋翔(22、三菱重工)ら、日本のトップスピードランナーたちと勝負をする。

相澤の走りが、4区のインターナショナル区間で外国人選手を起用できなかった旭化成の順位を、大きく左右する。

中村vs服部、アンカー勝負なら19年MGCの再現も

入社1年目(16年大会)は1区区間6位(チーム12位)だった中村。出られなかった年もあったが、18年5区区間4位(チーム5位)、19年4区区間9位(チーム4位。前回まで4区が22.4kmの最長区間)、21年4区区間2位(チーム優勝)、22年4区区間26位(チーム12位)と上州路を走ってきた。そして今回、初めてアンカーの7区を走る。

「チームとして1年間、優勝を目標に頑張ってきました。そこに自分も貢献したい気持ちが強いですね。アンカーなので勝負を決める区間。みんな強いので先頭争いでタスキを持って来てくれると思います。(高橋健一)監督からも、アンカー勝負の可能性もあるから、と言われています」

中村の駅伝におけるラストの強さは、学生時代から定評がある。大学3年時の出雲全日本大学選抜駅伝と全日本大学駅伝の1区、4年時の全日本4区と箱根1区で区間賞。その勝負強さが19年MGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ。五輪代表3枠のうち2人が決定)優勝時にも発揮された。ニューイヤー駅伝でも21年の富士通優勝時に、4区で鎧坂哲哉(33、旭化成)らを終盤で一気に引き離した。

服部と同じ区間を走ることになったのは、モチベーションになるという。

「東京五輪に出場した選手たちは何かしらの苦労をして、あの舞台に立ったはずです。服部選手に限らず、東京五輪を一緒に戦った選手たちの走りは刺激になりますね。今年のMGCは沿道で富士通の選手たちを応援していましたが、(MGC2連続3位の)大迫さんはしっかり上位に入ってすごいと思いました。一山(麻緒、富士通)さんは2位でパリ五輪代表を決めました。前田(穂南、天満屋)さんと鈴木(亜由子、JP日本郵政グループ)さんは結果としては残念でしたが、クイーンズ駅伝では2人とも頑張っていて、自分も駅伝でも頑張らないと、と刺激をもらいましたね」

服部と同じ区間を走るのは、ニューイヤー駅伝では初めてだ。学生時代の駅伝でも、マラソンでも、MGCと東京五輪を除けば一緒だった記憶はない。

「(服部7区の可能性は)富士通のスタッフからも言われていたので、やっぱり来たか、と思いました。服部選手も自分も故障で苦しんでいた期間が長いので、一緒に走れるのはうれしいですね。順位をつけるのが駅伝ですから、負けられませんけど」

服部も12月下旬に取材したとき、勝負に対して強い気持ちを話していた。まだ出場区間は決まっていなかったが、後半区間になることは、自身とチーム状況から推測できた。

「5区かアンカーだと思っています。自分の中ではどちらも自信がありますね」
何より、初優勝への思いが強い。トヨタ自動車の最後の優勝が16年で、服部は同年4月に入社した。「年々、優勝への思いが強くなっています。雄介(西山雄介・29)とも1回は勝ちたいね、と話しているんです。勝つとしたら今年だろう、と。ゴールテープを切りたいです」

地元五輪の代表だった2人は、いわばチームの顔である。その2人がアンカーで接戦を繰り広げたら、東京五輪代表を決めた19年MGCを再現するシーンになる。