■開催地の“地元選手”として出場する「強化指導員」。その実態は?
強化指導員のほとんどが県外出身選手です。6年間で獲得した強化指導員のうち、約8割に当たる235人が県外出身者でした。県競技力向上対策課によると、強化指導員の報酬は個人差があるものの、おおむね年間300万円程度。このほか、選手の合宿や遠征費用、優秀な指導者の招聘費用など、鹿児島県が競技力向上対策として注ぎ込んだ費用は、18年度からの6年間で約24億5500万円に上ります。
県外から有力選手を集める手法は、国体開催地の間で慣例のように行われていて、例えば、コロナ禍前の19年の開催地となった茨城県は、16年度からの4年間でのべ145人の「スポーツ専門員」を獲得。そのうち、県外出身者は約73%に当たる106人。茨城県は天皇杯を獲得しました。
■「競技力向上に大きく貢献」の一方で、弊害も
「鹿児島国体における最強布陣の編成を目指す」
鹿児島国体に向け、2021年3月に策定された県の競技力向上3か年計画にそう記され、展開されたトップアスリート確保作戦。県は「憧れを抱くようなトップレベルの選手から県内選手が指導を受けることができ、競技力向上に大きく貢献した」と効果を強調します。
しかし、一部の競技では強化指導員が国体選手選考会に参加したことで、地元選手が国体に出場できなかったケースもあったといいます。12月県議会では、県内選手の競技継続へのモチベーション低下を危惧する声も上がっていました。
■国体が終われば、さようなら?
強化指導員が所属する県スポーツ協会によると、2023年11月末現在で、今年度契約した77人のうち、既に15人が委嘱期間満了などのため、強化指導員を“卒業”。15人の半数以上が県外選手で、残る62人も今年度いっぱいの契約だといいます。県は、委嘱期間が終了した後も、県内での活動を希望する場合は、県内で競技が続けられるよう、支援する方針を示していますが、来年度以降も強化指導員を獲得するかは未定といいます。
■開催地は上位だったけど、翌年は…
一方で、開催地の開催年以降の成績は芳しくありません。開催地の翌年(コロナ禍による中止の場合は、直近に開催された年)には10位台か20位台に順位を落とす傾向が続いています。ことし開催地となった鹿児島県は「来年度以降、急激に順位を落とさないようにしたい」と話します。
