ようやく動き出した対策 「不適切指導」の7つの事例

去年12月、生徒指導の基本書「生徒指導提要」が改訂されました。12年前に生徒指導提要ができてから、初めての改訂です。

改訂によって、「懲戒と体罰、不適切な指導」という項目が初めて盛り込まれ、ようやく国が対策に乗り出した形です。
そこには「不適切な指導」について、7つの具体例を挙げたうえで、「不登校や自殺のきっかけになる場合もある」と記載されました。

①大声で怒鳴る、ものを叩く・投げる等の威圧的、感情的な言動で指導する。
②児童生徒の言い分を聞かず、事実確認が不十分なまま思い込みで指導する。
③組織的な対応を全く考慮せず、独断で指導する。
④殊更に児童生徒の面前で叱責するなど、児童生徒の尊厳やプライバシーを
損なうような指導を行う。
⑤児童生徒が著しく不安感や圧迫感を感じる場所で指導する。
⑥他の児童生徒に連帯責任を負わせることで、本人に必要以上の負担感や罪
悪感を与える指導を行う。
⑦指導後に教室に一人にする、一人で帰らせる、保護者に連絡しないなど、適
切なフォローを行わない。

この7つの例は、これまで「不適切な指導」で亡くなった子どもが置かれた状況に見られるケースで、大貫さんは「まずこの7つの点を学校現場で行わないように徹底することから始めなければならない」と話します。

大貫さんら「指導死」遺族の講演を聞く学生(2023年12月22日)

日本体育大学で大貫さんら「指導死」遺族の講演を聞いた、教員・指導者の“卵”の学生たちは、「指導死」について―。

講演を聞いた学生

講演を聞いた日本体育大学修士1年生
「話を聞いて、学校から正しい説明を受けることができなかったり、切実な対応をされなかったりしていることが、遺族の悔しい思いをさらに大きくしていると思いました。将来的に、自分が教える側になりたいなと思っているからこそ、同じことは絶対に起こさないように伝えていくべきだと思いました。人として、自分の知ってるだけのことでしか対応できないと思うので、まず『知ること』がとても大切だと感じました」

子どもを「指導死」に追いやらないようにするため。
大貫さんが訴え始めてから、もう16年が経ちました。
対策はいま、ようやく、わずかに動き出したに過ぎません。