「お金はどうしたんだ?」
社長の男と殺害された男性との関係は、雇用主と従業員。2人の間には、事件前から“暴力の主従関係”が存在した。仕事でミスをした男性に対し、社長の男が暴行を加える場面があったというのだ。一方、弁護側は、男性には精神障害があり、コミュニケーションが取りづらい状況だったという。
では、事件当日の夜、なぜ、2人は資材置き場に向かったのか。
<検察官>
「金銭問題がきっかけだった?」
<社長の男>
「(別の建設会社)の会長が『男性との間に金銭のトラブルがあるから白状させろ』と言っていると従業員から聞いた」
弁護側は殺害された男性は人から金を借り、返さないことが多々あったと主張。この日も男性と金銭トラブルがあった別の建設会社の社長から問い詰めるよう頼まれて、社長の男は資材置き場に向かったという。
「お金はどうしたんだ?」

<社長の男>
「『持っている』と言ったので、(男性を)蹴り上げた。そうしたら『持っていない』と言った」
<検察官>
「なぜ、蹴り上げた?」
<社長の男>
「男性のヘラヘラしている態度にむかついた。2、3発とか4発。複数回ですね」
さらに、被告の男はおもむろに車のエンジンをかけたという。「エンジンをかけて、まあ、なんて言うんだろ。ひいてしまうというわけではないが脅かすつもり」。事件はその直後に起きた。男性の頭に火がつけられたのだ。